名門バルサが最も重視する選手の資質は? スカウトが明かす逸材を見分ける明確な基準
積み上げてきた育成の歴史とサイクル
そうやって積み上げてきた歴史は今も健在と言える。セルヒオ・ブスケッツ、ジョルディ・アルバ、エリック・ガルシア、アンス・ファティ、アダマ・トラオレ、ガビ、ニコ・ゴンサレス、ダニ・オルモ……これだけのバルサ出身者がカタール・ワールドカップにも出場するスペイン代表に名を連ねている。
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「ラ・マシア(バルサ下部組織の総称)での経験は今も、自分を支えていると思う」
ラ・マシア育ちでバルサの監督に就任したシャビはそう語っている。
「同世代の同じ夢を持った仲間たちと切磋琢磨し、いつかトップでプレーしようと誓い合った。毎日が必死だったけど、あの頃はとても楽しかった。あの経験をしたからこそ、今の自分がある。週末にカンプ・ノウで憧れの選手たちを見ると、次の週からの練習にまた打ち込めた。初めてトップの選手と練習した時のことは忘れられない。実際にカンプ・ノウのピッチに立った時の喜びは言葉にならなかった」
歓喜のカタルシスが、ラ・マシアの伝統を紡いでいくのだろう。
今も少年たちは夢を見る。いつかカンプ・ノウで青とえんじのユニフォームを身に纏うことを――。そのサイクルを作るのは、育成を司る人々だ。
(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)