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名門バルサが最も重視する選手の資質は? スカウトが明かす逸材を見分ける明確な基準

積み上げてきた育成の歴史とサイクル

 そうやって積み上げてきた歴史は今も健在と言える。セルヒオ・ブスケッツ、ジョルディ・アルバ、エリック・ガルシア、アンス・ファティ、アダマ・トラオレ、ガビ、ニコ・ゴンサレス、ダニ・オルモ……これだけのバルサ出身者がカタール・ワールドカップにも出場するスペイン代表に名を連ねている。

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「ラ・マシア(バルサ下部組織の総称)での経験は今も、自分を支えていると思う」

 ラ・マシア育ちでバルサの監督に就任したシャビはそう語っている。

「同世代の同じ夢を持った仲間たちと切磋琢磨し、いつかトップでプレーしようと誓い合った。毎日が必死だったけど、あの頃はとても楽しかった。あの経験をしたからこそ、今の自分がある。週末にカンプ・ノウで憧れの選手たちを見ると、次の週からの練習にまた打ち込めた。初めてトップの選手と練習した時のことは忘れられない。実際にカンプ・ノウのピッチに立った時の喜びは言葉にならなかった」

 歓喜のカタルシスが、ラ・マシアの伝統を紡いでいくのだろう。

 今も少年たちは夢を見る。いつかカンプ・ノウで青とえんじのユニフォームを身に纏うことを――。そのサイクルを作るのは、育成を司る人々だ。

(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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