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「日本の恥」と抗議殺到 劣悪だった埼スタの芝、日韓W杯へ一変させた裏方の奮闘

イタリア戦の翌日から鳴り響いた抗議の電話

 先発した日本代表の小野伸二も「芝がめくれ上がり、ピッチが軟らかく感じた。踏み込むと重い感触で、芝が根付いていないんだと思いました」と回想する。同時に「グラウンドはぼこぼこだったけど、相手が豪華メンバーのイタリア代表なので試合に集中した。勝つことしか考えていなかったから、必要以上にピッチ状態を気にしている場合ではなかったんですよ」と言い放つのだから、小野は別格の選手である。

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 イタリア戦から3日後、Jリーグ第2ステージ浦和-柏レイソルが行われ、翌日はワールドカップ(W杯)開幕200日前行事の全国一斉サッカーフェスティバルがあり、レッズOBとコモエスタ赤坂が対戦。12月29日には浦和とセレッソ大阪が対戦した天皇杯準決勝、さらに第80回全国高校サッカー選手権では初めて試合会場となり、大みそかの1回戦と新春1月2日の2回戦で4試合使用した。

 1、2回戦とも埼玉スタジアムで戦った浦和南(埼玉)の監督だった石神英徳さんは「スライディングや体重を乗せて強く踏み込むと、芝が四角い形状のままはがれました。特にサイドライン側が目立った」と振り返り、境(鳥取)との1回戦で後半33分に判定されたPKについて「うちの選手は全く触れていないのに、相手が勝手に転んで取られた。あれもピッチ状態が影響したんでしょうね」と苦笑した。

 石神監督は開幕前、大会関係者から会場が変更になる可能性のあることを告げられている。

「お前ら日本の恥だ」
「芝の責任者を出せ」
「W杯は大丈夫か」

 イタリア戦の翌日からしばらく、埼玉スタジアムには抗議の電話が殺到した。

 2000年3月から準備室時代を含め、埼玉スタジアム2002事業推進本部の主任だった船越良さんは、「文句や誹謗、抗議のほか『芝の生育に効く薬品があります』とか『うちならこんな手当てが可能です』といった業者からの売り込みもずいぶんありました」と当時の様子をこう伝える。

 朝から晩まで電話が鳴りっ放しの事務所は修羅場と化し、最初に電話を受けるアルバイトはひたすら謝り続け、果ては3人が早々に辞めてしまった。それから事務所の電話を自動音声に切り替えた。

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