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宮城スタジアムは「負の遺産」か 日韓W杯“終戦”の地、解体危機を経た20年後の姿

サブグラウンドでトレーニングする地元の利用者たちの姿【写真:宇都宮徹壱】
サブグラウンドでトレーニングする地元の利用者たちの姿【写真:宇都宮徹壱】

地域住民がスポーツを楽しむ場として機能

 ネックとされてきたアクセスの悪さも、自家用車での移動が当たり前の地域住民にはなんら問題はない。大規模イベントでなければ、渋滞に巻き込まれる心配もない。宮城スタジアムは、地域住民がスポーツを楽しむ場としては、今でも十分に機能している。W杯スタジアムの「余生」としては、これはこれで“あり”なのかもしれない。

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 かつては「さっさと壊したほうがいい」と主張していた村松も、20年という月日をともに歩んできた宮城スタジアムには、ひとかたならぬ愛着を感じている様子。そんな彼に、2002年W杯がこの地に残したものについて、最後に語ってもらった。

「まずボランティア文化が定着したこと。大会後、ベガルタだけでなく、楽天イーグルスやBリーグの仙台89ERSにも、ボランティアが付くようになりました。プロ野球界でのボランティアは前例がなくて、他球団も真似しましたけれど、今も続いているのは楽天だけです。それと県民のスポーツ意識が高まったこと。これだけ気軽に、スタジアムを利用できるようになりましたからね。ここの子供たちは、本当に贅沢ですよ(笑)」(文中敬称略)

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(宇都宮 徹壱 / Tetsuichi Utsunomiya)

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宇都宮 徹壱

1966年生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て97年にベオグラードで「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」を追う取材活動を展開する。W杯取材は98年フランス大会から継続中。2009年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞した『フットボールの犬 欧羅巴1999-2009』(東邦出版)のほか、『サッカーおくのほそ道 Jリーグを目指すクラブ 目指さないクラブ』(カンゼン)、『蹴日本紀行 47都道府県フットボールのある風景』(エクスナレッジ)など著書多数。17年から『宇都宮徹壱WM(ウェブマガジン)』を配信している。

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