韓国が日本より「強かったとは思わない」 日韓W杯トルコ戦、ダバディが今も悔やむこと
日本のサッカー文化が「進歩したとは言いきれない」
「確かにヨーロッパでプレーする選手は20年前に比べて増えているし、日本代表もワールドカップに出続けている。でも日本のサッカー文化が発展しているのかというと、僕は2002年がピークで、その後は下り坂になっているとは言わないけど、進歩したとも言いきれない。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
僕が(元日本代表監督のヴァヒド・)ハリルホジッチさんや(元横浜F・マリノス監督のエリク・)モンバエルツさんと話をした時、奇しくも2人が同じことを指摘していたんです。選手の才能を認めながらも、例えばカウンターから数的不利での対応を迫られた時、頭が真っ白になって最適なプレーを選択できないと。戦術面の理解、状況に応じたポジショニング、体の向きといった知識の習得が遅れていると言っていました。日韓ワールドカップから20年が経ったけど、そうした土台の部分がまだ成熟していない。でも、これこそがサッカーであり歴史を積み重ねるということ。フランスだって長い間、訳の分からない方向へ進み、失われた時間がありましたから。
一方、この20年で日本のメディアは確実に進歩して素晴らしい記事を書くようになったし、ファンの目も肥えました。これもまた歴史であり、日本が築き上げてきたサッカー文化。2002年ワールドカップの遺産は活かされていないものも含めて、まだ多く残っているし、日本サッカー界がさらに前進できるよう、僕も外から見ていきたいと思います」
【第1回】就職3か月でトルシエの通訳へ ダバディの運命を変えた“Jリーグ愛”と「根拠なき自信」
【第2回】「赤鬼」と呼ばれたトルシエの素顔 通訳が語る緻密さ、訳しながら“鳥肌が立った”瞬間
【第3回】中田英寿とトルシエ、日韓W杯「1年前の確執」 通訳がいま明かす“豪雨会談”の真相
■フローラン・ダバディ / Florent Dabadie
1974年11月1日生まれ、フランス・パリ出身。パリのINALCO(国立東洋言語文化学院)日本語学科で学び、卒業後の98年に来日し映画雑誌『プレミア』の編集部で働く。99年から日本代表のフィリップ・トルシエ監督の通訳を務め、2002年日韓W杯をスタッフの1人として戦った。フランス語、日本語など5か国語を操り、02年W杯後はスポーツ番組のキャスターや、フランス大使館のスポーツ・文化イベントの制作に関わるなど、多方面で活躍している。
(THE ANSWER編集部・谷沢 直也 / Naoya Tanizawa)