日本代表の「選手層は厚くない」 トルシエがW杯メンバー選考に持論「弱点になる」
2002年日韓ワールドカップ(W杯)の開催から、今年で20周年を迎えた。日本列島に空前のサッカーブームを巻き起こした世界最大級の祭典は、日本のスポーツ界に何を遺したのか。「THE ANSWER」では20年前の開催期間に合わせて、5月31日から6月30日までの1か月間、「日韓W杯、20年後のレガシー」と題した特集記事を連日掲載。当時の日本代表メンバーや関係者に話を聞き、自国開催のW杯が国内スポーツ界に与えた影響について多角的な視点から迫る。
「日韓W杯、20年後のレガシー」#4 フィリップ・トルシエの回顧録・第3回
2002年日韓ワールドカップ(W杯)の開催から、今年で20周年を迎えた。日本列島に空前のサッカーブームを巻き起こした世界最大級の祭典は、日本のスポーツ界に何を遺したのか。「THE ANSWER」では20年前の開催期間に合わせて、5月31日から6月30日までの1か月間、「日韓W杯、20年後のレガシー」と題した特集記事を連日掲載。当時の日本代表メンバーや関係者に話を聞き、自国開催のW杯が国内スポーツ界に与えた影響について多角的な視点から迫る。
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1998年から2002年まで日本代表を率いたフィリップ・トルシエ氏は、A代表とシドニー五輪代表の監督を兼任し、若手の才能を磨きながら融合し、4年の歳月をかけて世代交代を推し進めていった。現在の日本代表を率いる森保一監督も、東京五輪代表を指揮して堂安律や久保建英、田中碧らに経験を積ませ、カタールW杯を目指すA代表で起用。そんな同じような強化のプロセスを歩んできた森保ジャパンに対する印象とスペイン、ドイツと同グループとなったW杯の展望について、トルシエ氏が旧知の英国人ジャーナリストに明かした。(取材=マイケル・チャーチ)
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日本代表は2002年日韓W杯で史上初のグループリーグ突破を果たして以降、10年南アフリカ大会と18年ロシア大会でもベスト16に進出。「ベスト8の壁」こそ存在するものの、1998年から7大会連続でW杯に出場しながらコンスタントに成績を収めている。フィリップ・トルシエ氏も、自身が率いて以降も日本が“アジアの盟主”として君臨していることについて「素晴らしいこと」とした上で、この成功は「日本人選手のクオリティがなせる業」と継続的に有能なタレントが育ってきていることを称えた。
「日本の真の優位性はサッカーの質が高いことだ。彼らは守備的なチームではなく、世界のどんな国相手にも立ち向かえる。ボールを保持できる技術があり、テクニックもある。これは素晴らしい優位性だ。そして一丸となってプレーできるのも日本の優れたところ。チームとして団結できる」
森保一監督が率いる現在の日本代表でプレーする選手たちについても、トルシエ氏は好印象を抱いているものの、一方でこうも指摘する。
「多くの日本代表選手が欧州でプレーしているが、ほとんどのクラブが強豪ではない。これは忘れられがちなところだ。(日本代表メンバーの)90%の選手が欧州にいるが、“普通”のクラブでプレーしている。世界トップ5のクラブではない」
現在の招集メンバーを見ると、南野拓実はプレミアリーグの強豪リバプールに所属しているが、レギュラーの地位を確立できておらず、その他の選手の所属クラブを見ればトルシエ氏の指摘は確かに当てはまる。