日本バドミントン界でいま深刻な「環境格差」 実業団が交流大会を開催した切実な理由
選手が試合に飢えている。バドミントン界は、日本がコロナ禍に見舞われた2020年春以降、多くの国内大会が止まったままだ。トップリーグであるS/Jリーグは、21-22年シーズンに従来の総当たり戦からトーナメント戦に切り替え、日程を短縮して開催に踏み切ったが、1、2回戦を行った後に複数のチーム関係者が新型コロナウイルス感染の検査で陽性となり、翌週に予定していた準決勝、決勝を中止とした。19-20年シーズン以降は、チャンピオンを決めることができていない。全日本社会人選手権も昨年まで2年連続で中止となっている。
ジェイテクトが中心となり「GWカップ」開催、コロナ禍で公式戦のない選手を支援
選手が試合に飢えている。バドミントン界は、日本がコロナ禍に見舞われた2020年春以降、多くの国内大会が止まったままだ。トップリーグであるS/Jリーグは、21-22年シーズンに従来の総当たり戦からトーナメント戦に切り替え、日程を短縮して開催に踏み切ったが、1、2回戦を行った後に複数のチーム関係者が新型コロナウイルス感染の検査で陽性となり、翌週に予定していた準決勝、決勝を中止とした。19-20年シーズン以降は、チャンピオンを決めることができていない。全日本社会人選手権も昨年まで2年連続で中止となっている。
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実戦がない状況を打破しようと、ゴールデンウィークの5月3、4日に開催されたのが「GWカップin愛知」という交流大会だ。実業団のジェイテクトが中心となって企画。同社の専用体育館にS/Jリーグの参加チームが複数集まり、シングルス、ダブルスの個人戦を行った。
シングルスで優勝した田中湧士(NTT東日本)は、日本大学4年生だった昨年に全日本総合選手権を制覇。今年から日本B代表に選出されているが、国際大会もトップレベル以外は中止が多く、実戦経験を積めずにいる。「ジェイテクトさんが手配してくれて、大変な部分もあるなかでやってもらえた。選手思いな大会だと思う。(自チーム以外の)いろいろな選手と羽根を打つ機会が減っているなかで、練習試合も含めてすごく貴重」と感謝を示した。大会以外に、体育館が使える1~5日の5日間にわたって交流試合も行った。
大会の運営に携わったジェイテクトの石井裕二監督は、「試合がないとモチベーションが上がらない。選手のために緊張感のある試合をやりたいと企画した」と開催趣旨を説明した。無観客ながら無料ライブ配信を実施。決勝戦は同じ時間帯に交流戦を行わず、他選手が見守るなかで行われた。緒方友哉とのペアでダブルスを準優勝した柴田一樹(ともにNTT東日本)は、「試合が少ないなか、緊張感のある会場作りをしてくださって、普通の練習試合とは違いました。準備してくださった方々には感謝しかありません」と話した。
国内大会が行われていない状況は、環境格差の拡大を促進する。シングルスで4強入りした牧野桂大(日立情報通信エンジニアリング)は「日本代表に入るためには、代表選手を倒さないといけないと思っていますが、今、国内で行われているのは、日本ランキングサーキットと全日本総合の2つだけ。半年に1回で、試合勘もなくなる。代表選手は国際大会や代表合宿でレベルの高い練習や試合ができる。元々力の差があるのに、踏んでいる場数も違い、どんどん差が広がってしまう」と焦る気持ちを吐露した。