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サッカー選手と「エゴ」の強さ “劇場的成功型”の本田圭佑、バルサ去った逸材との違い

実力がなくなったら「口だけになる」リスク

 もう一つ言えば、そんな自分に深く酔いしれることもできた。「本田圭佑」という物語のプロデューサーに自らがなってきたのだ。

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「常に自分にプレッシャーをかけていなければ、未知の世界を知ることも、到達することもできない。たとえ今は苦しくても、真剣に向き合うことで見えてくるものもある。現実を認めないと、今を生きることもできない。でも、現実を受け入れることに慣れてしまうと、止まってしまう。それは怖い。だから、自分にプレッシャーをかけ続ける。プレッシャーは苦しみですが、快感でもあるんです」

 まさに異能と言えるだろう。本田は「ワールドカップ優勝」という高い目標を設定することで、劇的な進化を遂げた。巨大な欲求が彼を突き動かし、日本サッカーまでも前に進めてきたのだ。

 しかしながら、自意識が強い性格はリスクも伴う。実力がなくなったら、口だけになってしまい、自己肥大して求心力を失う。諸刃の剣だ。

 エゴの善し悪しは、紙一重と言える。この原理は、あらゆる社会生活でも適用されるだろう。プロの世界は濃密だけに、その光と影が強く出るのだ。

(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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