女子ツアー6勝、47歳天沼知恵子は“5刀流” 超多忙でも夢は「全米シニア女子OP出場」
50代目標は全米シニア女子OP出場「アニカが刺激に」
試合に出場するようになっても、ゴルフに適したトレーニング法を学び、結果につなげていった。そのノウハウを生かしている形だが、今は昨季賞金女王の稲見萌寧のことが気になっている。今月上旬に開催された富士フイルム・スタジオアリス女子オープンの開幕前日、稲見はオフの間に契約した新トレーナーと重ねたトレーニングで、スイング時の重心の取り方や体幹の感覚がズレてきたことを明かしたからだ。
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「稲見さんが話されたことはよく理解できます。正直、ゴルフが分からないまま、選手と向き合っているトレーナーは少なくありません。稲見さんの言う通り、体はとても繊細で、ゴルフには少しの変化がとても影響していきます。例えば、背筋や右腕が強くて、左手の筋力が弱かったら、球が左に曲がるスイングになりがちです。そうしたスイング作りの面を意識したトレーニングも必要。今のままだと、トレーニングでつぶれる選手も出てくるので、トレーナーのレベルアップが急務だと感じています」
選手を指導する中で、自身も週2ペースでラウンドをしている。ドライバーで240ヤードの飛距離は全盛時と変わらないといい、今も試合出場の機会をうかがっている。
「QT(ツアー予選会)は受けませんが、レギュラーツアーで推薦出場の機会があればありがたいです。実は50歳を超して、全米シニア女子オープンに出場することを目標にしているので」
プレーへのモチベーションも高めてきた理由は、米女子ツアー72勝で51歳のアニカ・ソレンスタムが、昨年の全米シニア女子オープンで優勝し、今年6月の全米女子オープン出場を決めたニュースを知ったからだ。
「アニカが日本に来た時は、何度も同じ組で回らせてもらいました。ツアーを長く離れていたのに、50歳を超えてまた活躍している姿に刺激を受けています。私と同じ47歳のカリー(・ウェブ)も、シニアの試合に向けて準備しているはずです。なので、私もあの2人とまた一緒に回れるように頑張りたいです」
そのためにも、残り3年でジム経営、セカンドキャリアの環境整備、若手育成を進めることが目標。天沼は当面は“5刀流”を続け、後輩たちに1つの道筋を示していく。
■天沼知恵子(あまぬま・ちえこ)
1975年(昭50)4月23日、静岡県御殿場市生まれ。91年、中学卒業と同時に小田急西富士GCに入社し、初心者からゴルフに取り組む。96年にプロテスト合格。00年に賞金ランキング27位で、初のシード権を獲得した。翌01年には初優勝を含めて5勝を飾り、同ランキング3位。06年には5年ぶりの優勝を飾った。その後も試合出場を重ねるも、11年の日医工女子オープンで腰痛を発症。「腰椎分離すべり症」と診断され、5時間に及ぶ大手術を受けた。12年から復帰。レギュラーツアーでの生涯獲得賞金は2億6045万6645円。165センチ、血液型A。
(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)