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14歳から海外挑戦 水谷隼、孤高の卓球人生の最後に見た景色「自分は1人じゃなかった」

水谷に憧れ、背中を追う後輩たち

 先行者はいなかったし、その都度お膳立てされていたわけではなかったから、自ら動かなければならなかった。

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 その過程があって、水谷は世界有数の選手となり、五輪をはじめとする輝かしい成績を収めた。そして引退へと至った。

 こうして迎えたセレモニーは、今までにない感慨を抱かせた。

「今日(海外選手からの)VTRも観ましたし、スポンサーの皆さんや選手からお祝いの言葉をいただいて、自分は1人じゃなかったんだ、と。ずっと卓球をやってきて、最後に自分が気づいたのは、『たくさんの仲間がいてくれたんだな』って。本当に嬉しいというか、思い残すことがないですね」

 いつしか卓球界には、例えば水谷への敬意を隠さない張本智和のように、水谷の背中を見つめ、後に続こうとする選手たちがいた。

 国内の選手だけではない。海外の錚々たる選手たちも日本を飛び出し、世界で渡り合ってきた水谷にリスペクトを寄せた。だからメッセージという形で労った。

 自ら考え、自ら行動を起こし、日本卓球界の先駆けとなって歩む過程では、孤独を感じたかもしれない。でも、1人で道を作った末に、その姿に憧れる選手が現れ、尊敬される存在になった。

「1人」だからこそ、たくさんの支持と応援を得られた。それを示したのが、引退セレモニーだった。

(松原 孝臣 / Takaomi Matsubara)

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松原 孝臣

1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)、『フライングガールズ―高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦―』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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