19年ぶりにBMXフラットランドが復活 内野洋平が解説するX Games日本開催の意味
ストリートスポーツが社会に受け入れられるチャンスは今
そして今回、日本で初開催される「X Games」は内野にとっても特別な意味を持つ。内野が専門とするBMXフラットランドが、実に19年ぶりの「X Games」復活を果たすのだ。これまで世界大会で11度の優勝歴を持つ絶対王者は「いやぁ、長くやっていて本当に良かったって思いますね」と嬉しそうに目尻を下げる。
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「他の大会とは存在感が違うんですよ。僕がBMXを始めた頃、大舞台で活躍する海外の選手を見て、いつかは出たいと思っていた。そしたら、除外されてしまって。自分の競技はもう返ってこないと思っていたから正直、出たいと気持ちもなくなっていました。それでも他のストリートスポーツを見たいし友達も出ているから、X Gamesは毎回チェックはしていましたよ」
19年の月日が経ち、舞い込んできたBMXフラットランド復活の知らせ。1月に出場招待状を受け取った時の気持ちは言い表しようがない。だが、大会発祥の地ではなく、「この日本で復活というのも意味があると思いました」と続ける。
「元々シーンを支えていたのはアメリカだけど、今は日本が支えている。トップ選手だけではなくキッズのレベルも日本が圧倒的に高い。競技人口も世界で一番多いし、国内に10か所近いフラットランドのパークがあって、スクールも充実して育てる環境があるんです。世界を見ても今、フラットランドは日本を中心に回っているので、歴史的にも意味がある。いいと思います」
ただ、ここまで世界のフラットランドシーンを牽引してきた1人として、X Gamesへの復活を喜ぶだけでは終わらせたくない。「この一発だけになるのか、繋いでいけるのか。この後をどうしていくかが大切」と続ける。
「X Gamesが“日本に来る”だけで終わらせずに、僕たち競技者はただ『ありがとう』と思うだけではなく、招致した人たちの思いを考え、いろいろな形で繋いでいかないといけない。五輪に続き、社会的にストリートスポーツを受け入れてもらうには、今がチャンスだとも思います。一般の方たちの理解を得ながらカルチャーとして定着するためにも、ストリート業界が仕掛ける総攻撃だと思ってもらったら(笑)」
ストリートスポーツの底力、思いきり見せつけてもらおう。
(佐藤 直子 / Naoko Sato)