パラ競技に広まるアスリート雇用 証券会社に勤める車いすラグビー元日本代表の願い
アスリートと企業の双方にとってプラスになる形とは…
三阪さんは選手としてのキャリアを終えた後、コーチとしての道を歩き始めた。それ以前から会社と対話を重ねてきたおかげで「アスリートの時代と変わらず、コーチとしてのキャリアへのチャレンジを応援してくれました」と話す。
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業務の一環として障害に対する認知を広める活動にも取り組んできたため、社内での理解も深まり、オンラインで開催された東京パラリンピックの壮行会には200人を超える社員が参加。「皆さんがサポートしてくれるので、アスリートも会社のために頑張ろうと思う。互いにいい関係作りができている」と話し、アスリートと企業が互いに価値を高め合える関係作りが広く進むことを願っている。
こういった課題が見えてきたのも、東京パラリンピックが開催されたからこそ。見えた課題としっかり向き合い、パラスポーツ界、パラアスリートや彼らを取り巻く環境を、社会全体の課題として改善することが、次世代に繋ぐレガシーとなるのかもしれない。
「カナダではコロナ禍の中でも『スポーツは国にとって大事な存在だから引き続き注力していきます』と宣言して、早くから積極的に再開プランを推進しました。国を挙げてスポーツはコロナをはねのけるコンテンツの1つだと言えるのは素晴らしいと思いましたし、スポーツの価値をどう伝えるか考えさせられました。オリンピックスポーツに比べ、パラスポーツはまだいろいろと選択肢が限られることが多いですし、事例として少ない。今後も僕自身いろいろ挑戦しながら、パラアスリートにはどんな選択肢があるのか提示できたら、と思います」
東京パラリンピックで生まれたパラスポーツに対する注目や関心を一過性のもので終わらせないためにも、パラアスリートを巡るキャリア形成の環境整備は少しずつでも、確実に改善していくべき課題だと言えそうだ。
(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)