連載「氷の絵師たちのエール」第20回

「THE ANSWER」が北京五輪期間中に展開した特集「THE ANSWER的　オリンピックのミカタ」で配信したフィギュアスケート連載「氷の絵師たちのエール」。競技への愛情をイラストに込め、スケーターを後押しするファンの想いと作品を紹介した。好評につき、大会終了後も掲載延長。大会期間中に紹介しきれなかった作品を届ける。第20回は男子シングル17位に入ったマッテオ・リッツォ（イタリア）を描いた村瀬尚子さん。

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　魅惑のステップで銀盤で踊るイタリアの名スケーターがいる。

　マッテオ・リッツォ、23歳。イタリア選手権を制し、前回の平昌五輪に19歳で初出場（21位）。大舞台で得た経験を財産に19年ユニバーシアード優勝、同年の欧州選手権3位、さらにグランプリ（GP）シリーズで表彰台に上るなど、着実に成長してきた。今大会は男子ショートプログラム（SP）で自己ベスト88.63点をマーク。総合17位に食い込み、前回より順位を上げた。

　村瀬さんはそんなスケーターに魅了された一人。2018年のグランプリ（GP）シリーズでファンになった。

「いつもリッツォ選手の滑らかで上品なスケーティングと、躍動感あふれる芸術的なステップに魅了されています。リッツォ選手の演技は、私の想像力を掻き立てるので描きたくなるのと、またリッツオ選手の応援イラストを描くと不思議とパワーが湧いてくるので、よく描いています」

　今回描いたのは、リッツォのプログラム「two men in love」のコレオシークエンスの導入部分。「イラストの手つきのように、ふんわりと優しい世界へ導くような仕草で始まります。この場面がプログラムの魅せ場の一つでもあり、リッツォ選手が醸し出す優しさに溢れていて、それを絵で表現したいと思いました」と明かす。

　背景の「昼咲き月見草」にこだわった。「リッツォ選手の演技が、ふんわり花が飛んでいるような幻想的な世界の中で輝いているように感じ、その世界観を出すために背景に描きました」。色鉛筆、水彩絵具などで想いを注いだ。

　その花言葉が「自由な心」「無言の愛」「奥深い愛情」でもあり、プログラムの「two men in love」の曲に合っていると感じた。このイラストにも「花がふわっと咲くように演技がうまくいってほしい」という願いを込めたという。