「THE ANSWER的　オリンピックのミカタ」#78　地元後援会が見た子供時代の姿

「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的　オリンピックのミカタ」を連日掲載する。

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　北京五輪スノーボード女子ビッグエアで、岩渕麗楽（バートン）は合計166.00点で4位だった。16歳で初出場した2018年平昌五輪と順位は変わらなかったが、メダルを狙った3本目に初公開の大技に挑戦するなど、ひと回り成長した姿でメダル争いを繰り広げた。地元・岩手県一関市の後援会に話を聞いた。（取材・文＝水沼 一夫）

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　3本のランのうち、得点の高い2本の合計で争うビッグエア。2本目が終わり、フロントサイドとバックサイド、二方向のダブルコーク1080（斜め軸に縦2回転、横3回転）を成功させ、4位につけた岩渕は3本目に逆転をかけた。

　縦に3回転する女子最高難度のトリプルアンダーフリップを敢行。着地直後にバランスを崩して転倒し、高得点にはならなかったが、149センチの体で世界をあっと驚かせた。

　岩渕のもとに各国選手が次々に駆け寄り、挑戦を称えた。メダルを逃し、涙を流したが、「最後チャレンジできて良かったです」と後悔はない。「一緒に競っていた選手に、こんなに一緒に喜んでもらえてすごい良かったです」「（4年間を）出せたと思います」と胸を張った。

　岩渕の果敢な挑戦に、地元も熱い視線を送った。出身地の一関市東山町では20人弱の有志が集まり、声援を送った。後援会の鈴木正敏会長は、「4位に終わりましたけど、3本目に大技に挑戦したチャレンジ精神は褒めてあげたい。堂々と帰ってきてほしい」と、健闘を労った。

　東山町（2005年に現在の一関市と合併）は人口5500人ほどの小さな町。岩渕が初のオリンピアンだった。後援会で活動資金を補助したり、看板を掲げたりと、町を挙げて支援してきた。

　町民の記憶に残っているのは、子供の頃、ランニングをする岩渕の姿だ。

　鈴木会長の家は岩渕の実家と川を挟んで隣接する。「小さい時からいつも様子を見ていました。川の堤防を1週すると約1キロあるんです。学校から帰ってくると、毎日2周以上は走っていましたね。そういうひたむきな努力で足腰を鍛えていたと思います。時間が経ってからスノーボードをやっていると分かったんですけど、その時はマラソン選手になるのかなと思っていました。雨が降ってもやっていましたからね。一生懸命やっているから、『こんにちは。頑張っているね』と声をかけるのが精一杯で見ていました。本当に頑張り屋さん」と回想した。