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日本代表と外国人監督 「なんでも聞いてくれ」の先で起きた24年前の解任劇

長期スパンでの強化目指すも…協会とのコミュニケーションが取れていなかった?

 ファルカンは、1980年代にジーコ、ソクラテス、トニーニョ・セレーゾとともにブラジルの「黄金のカルテット」を形成し、当時世界最高水準を誇ったセリエAでは「ローマの鷹」「皇帝」などと呼ばれた極めつけの名手で、ブラジル代表監督も経験していた。

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「でもスター気取りするところはなく、自分が選んだ選手たちの能力を信じ切っていました。分からなければなんでも聞いてくれと、僕があまりに繰り返したから『それはマリーニョが自分で言っているんじゃないの』とからかわれたほどです」(マリーニョ)

 ファルカンは斬新な人選でチーム作りを進め、長期スパンでの強化を考えていたようだが、就任から約1年目に広島で開催されたアジア大会で「韓国を破ってベスト4以上」のノルマをクリアできずに退任する。解任にはファルカン自身も驚いていたというから、そういう意味ではJFA(日本サッカー協会)とのコミュニケーションが十分でなかったようだ。結局ファルカンを更迭すると、JFAは同じ言葉を共有できる加茂周を後任に据えている。

 しかし当時の主将だった柱谷哲二は、「コミュニケーションが取り難いから外国人監督がダメとは言っていない」と述懐している。今回ハリルホジッチの解任劇も「コミュニケーションが薄れた」(JFA田嶋幸三会長)のは、言葉の障壁というよりは、主張が一方通行になりがちな指揮官自身の性格に起因したはずである。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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