[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

日本中が注目した浅田真央とキム・ヨナ 涙の銀メダル、口を突いた「悔しい」の真意

計3度のトリプルアクセル成功後に乱れた演技

 2月23日、ショートプログラムが始まる。浅田は第5グループの2番目、全体では22番目の滑走順。焦点は冒頭のトリプルアクセル-ダブルトウループのコンビネーションジャンプだった。

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

 浅田は跳んだ――着氷。2つのジャンプを綺麗に決める。女子史上初の、ショートプログラムでのトリプルアクセル成功者となった瞬間だった。

 その後もすべての要素で加点を得る出来。演技を終えた浅田は嬉しそうに飛び上がった。同じくパーフェクトな演技で終えたキム・ヨナに、約5点差の2位でフリーを迎えた。

 トリプルアクセルは冒頭の単独ジャンプ、2つ目のダブルトウループとのコンビネーションジャンプと配置。

 浅田は1つ目を決める。拍手が起こるなか、2つ目――成功。さらに拍手と歓声が大きくなった。フリーで史上初めて2度の成功者となり、ショートと合わせて計3度のトリプルアクセルを成功させたのだ。歴史的瞬間だった。

 ただ、その後の演技は順調にはいかなかった。

 後半、3連続ジャンプの1つ目のトリプルフリップが乱れる。続くトリプルトウループはエッジが氷の溝に引っかかり1回転に。結果、キム・ヨナに次ぐ2位、銀メダルを獲得した。

 だが試合後、「価値のある銀メダルでは?」と言葉をかけられると、浅田はしばらく沈黙した後、一言答えた。

「悔しいです」

 涙は止まらなかった。

「(トリプル)アクセルを2回跳べたのは良かったけど、ほかの部分でミスがあって、演技自体は全然満足していません」

 トリプルアクセルを2度成功させた後、「跳んでから緊張感が出ました」と振り返る。挑戦を乗り越えて緊張がほぐれたのではなく、その真逆へと気持ちが向かった。成功したからこそ、最後まできちんと決めたいというプレッシャーが生まれたのかもしれない。

1 2 3

松原 孝臣

1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)、『フライングガールズ―高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦―』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集