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極寒の「手作りリンク」から五輪へ 新濱&森重を育てた“酪農王国”にある少年団の情熱

新濱立也(左)と森重航を育てた別海スケート少年団白鳥の小村茂監督(右)【写真提供:小村茂】
新濱立也(左)と森重航を育てた別海スケート少年団白鳥の小村茂監督(右)【写真提供:小村茂】

2人の五輪選手が同時に誕生「やってきたことが間違っていなかった」

 そうした違いはレースにも表れており、「スタートダッシュの速い、前半に強い新濱と、後半の伸びのある森重」の五輪での対決に、小村さんも熱い視線を注ぐ。

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「おそらく新濱は最初の100メートルをできるだけ早く通過して、そのスピードを殺さずにコーナーを抜けてバックストレートでどれだけトップスピードを出せるかというのが勝負の分かれ目になると思います。一方の森重は、100メートルはそこまで早くいかなくても、最後の200メートル、最後のコーナーに入った時にどれだけ加速させて最後の直線で伸ばせるかでしょう」

 もっとも、2人の少年時代を知る指導者として、勝負の結果は二の次。小村さんは「彼らが世界のトップを争っているというのを、信じられない気持ちで見ている部分も正直あって。2人ともいろんな経験をしながら、努力してここまで来たというのは十分に分かっています」と語り、小さな田舎町の小さな少年団から、2人のオリンピアンが同時に出た意義についてこう続ける。

「練習環境にしても、保護者の皆さんが仕事が終わった後、徹夜で水を撒き作ってきたリンク。そこで育った選手が、今こうやって世界のトップで滑っているというのは、地域としても本当に励みになりますし、それぞれの子供たちの保護者や関係者の皆さんも、自分たちがやってきたことが間違っていなかったと喜んでいます。そして何より、2人とも自分たちが育ってきた故郷を今も愛してくれている。本当に地元の誇りです」

 別海町の“手作りリンク”が生んだ2人の短距離スケーターが、いよいよ北京五輪の舞台に立つ。勝負は12日の500メートルと18日の1000メートルの2度、まずはともに33秒台の記録を持つ500メートルで世界を驚かす滑りを見せられるか。少年時代を過ごした極寒の故郷から、北京の地へ熱い視線が注がれている。

(THE ANSWER編集部・谷沢 直也 / Naoya Tanizawa)

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