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フィギュア記事でよく見る(N高東京)って何? 東大合格者も輩出する2万人高校の秘密

N高のオンライン授業の様子、動画教材を自分のペースで視聴し学習する【写真:N高等学校提供】
N高のオンライン授業の様子、動画教材を自分のペースで視聴し学習する【写真:N高等学校提供】

「子供たちを選択しない」通信制教育、生徒をそれぞれに伸ばす個性

 N高では、コミュニケーションツール「Slack」を利用し、ホームルームも部活もある。最も盛んな部活は美術部とeスポーツ部。ともに1800人以上という規模感だ。授業はアーカイブで公開された動画を視聴。朝でも夜でも、好きな時間に受けられる。「ニコニコネット超会議」と連動した文化祭もコロナ以前は幕張メッセで開催。「オンライン」という単語を除けば、普通の学校に近い。

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 1万7000人いれば、生徒もさまざま。それでも、それぞれの個性を伸ばすことを目指している。

「普段は海外にいる生徒もいれば、卒業後は東大に行く生徒もいる。一方で、小・中と何らかの事情でずっと不登校だったけど、高校の間で家を出られるようになった生徒、近所のコンビニでアルバイトできるようになった生徒もいる。その中で元気いっぱいに活動するアスリートの生徒もいます」

 通信制高校の一番の良さは「子供たちを選択しないこと」。だから、N高には通学コースを除き、入学試験もない。

「普通の学校は“入れ物”のようなイメージがあるかもしれません。そのために入学試験がある。うちには、その入れ物がない。“ベース”があるだけ。だから、そこに誰でも乗ってもらえる。在籍している生徒たちをひと言で言い表せない。『あらゆる生徒がいる』というのが特徴です」

 N高創設も校長の情熱から始まった。大学時代から障がい児教育を学び、「何かの事情があって、枠組みからこぼれしてしまう子供を手助けしたい想いが強かった」という奥平校長。卒業後は学習塾などで30年あまり教育業界に携わり、新たな通信制高校をKADOKAWAグループに提案した。

「今の学校制度では、その枠組みに収まらない生徒がいる。その生徒たちを受け入れる、しっかりとした受け皿が必要だった」。通信制自体はあったが、N高が目指している「高等学校の再現」には遠い。「通信制」というだけで下に見られる現実もあった。そうした評価や見方を変えたかった。

 忘れられないのは2016年の開校を控えた冬。4月の入学に向けた説明会に子供自身が親を連れてやってきた。

「カドカワ、ドワンゴ、ニコニコ動画……。そんな情報が先に入り、親の方は『えっ、この学校、本当に大丈夫なの?』という目で来るけど、子供たちが『僕はここならやっていけるかもしれない』とやってきてくれた」。そんな姿を毎年のように目の当たりにしながら、手応えを深めていった。

 教員の多くは新卒を採用。革新的な学校運営を目指すなら、従来の教育システムに染まった人材より適していると考えたからだ。20~30代が中心で副校長も30代。東京、大阪、名古屋など、スクーリングのキャンパスのある全国各地に教員が点在し、奥平校長も本校のある沖縄・うるま市にいる。

 オンライン上のコミュニティで生徒たち同士の繋がりを作ることを重視。そのために「コミュニティ開発部」という専門部署を作り、ほかにも職業体験や進路指導などのジャンルを部門ごとに分業化させた。通常、先生がすべてを担う高校とは異なるフォロー体制を充実。コミュニケーションが難しい生徒にもZoomを使った三者面談などで日常的なサポートを実現させている。

 こうした、きめ細やかな「生徒ファースト」の体制作りで実ったものの一つが、大学進学だ。

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