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羽生結弦、浅田真央ら見守った14年間 フィギュア日本代表ドクターの知られざる苦労

「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載。注目競技の一つ、フィギュアスケートは「フィギュアを好きな人はもっと好きに、フィギュアを知らない人は初めて好きになる17日間」をコンセプトに総力特集し、競技の“今”を伝え、競技の“これから”につなげる。

日本代表チームドクターを務める土屋明弘さんが選手を支える裏側を明かす【写真:AP】
日本代表チームドクターを務める土屋明弘さんが選手を支える裏側を明かす【写真:AP】

「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#33 連載「銀盤のささえびと」第3回・日本代表ドクター前編

「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載。注目競技の一つ、フィギュアスケートは「フィギュアを好きな人はもっと好きに、フィギュアを知らない人は初めて好きになる17日間」をコンセプトに総力特集し、競技の“今”を伝え、競技の“これから”につなげる。

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 連載「銀盤のささえびと」では、選手や大会をサポートする職人・関係者を取り上げ、彼らから見たフィギュアスケートの世界にスポットライトを当てる。第3回は日本代表チームドクターだ。2008年から代表選手をサポートする船橋整形外科病院の土屋明弘さん。煌びやかな世界に隠れた過酷さを知り、支える側の苦労や「選手の無事」を願う医者ならではの姿があった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

 ◇ ◇ ◇

 華やかなリンクを生で見ることはない。大会会場の一室で、聞こえてくる拍手と歓声に耳を澄ます。その音で選手たちが無事に演技を終えたことを知る。

「周りからはよく『間近で観戦できていいですね』と言われますけど、私は日本選手以外見られないんです。裏にいるだけですから。モニターが置かれている場合は海外選手の演技を見たりできますけどね」

 土屋さんは明かした。会場まで同行するドクターはチームに一人だけ。いつ何が起こるかわからない。出番を前に、舞台裏で静かにウォーミングアップをする選手たち。集中力を高める姿に近づきすぎず、離れすぎず。66歳。羽生結弦や浅田真央ら息子、娘ほど年の離れたスケーターの異変を逃さぬよう、絶妙な距離を保ちながら見守ってきた。

 選手との関わりは薬の相談が多い。痛み止めなどがドーピング違反にならないか。怪我の診断、体調管理のほか、痛みが悪化しないように助言したり、時にはドクターストップをかけたり。代表選手の拠点は各地に散らばっているため、相談を受ければそれぞれに近い病院を紹介することもある。

 大会中も、裏方ならではの苦労が絶えない。朝イチの練習から必ずリンクに駆け付ける。選手ごとに練習時間が異なっていても、全員が終わるまで有事に対応できるよう準備。無事に本番を終えた後は、ドーピング検査が待っている。夜の競技では日付が変わることもあった。

「私たちは朝から晩まで仕事があります。ドーピング検査は、選手が終わるまで待たなければいけません。(選手の尿が出ず)一夜を明かしたという話もよくありますけど、フィギュアスケートは翌日も別の種目があるじゃないですか。深夜2時にホテルに帰ってきて、4時か5時頃に出発したこともありました。『もうお風呂もいい。寝る』とか言って(笑)」

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