高梨沙羅が追求する「日本刀で竹を斬る」速さ 10年来のトレーナーが知る進化の舞台裏
理想を追求する高梨、「先生と生徒」の関係から変化
それでも、高梨に対する心配はなかったという。
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「以前はコーチやトレーナーの言うことを『はい』って聞く感じで、いわゆる先生と生徒みたいな関係性でした。今は、自分がどうしたいというのがあって、それにどうしたらいいかっていうアドバイスを与えている。本当の意味で、彼女を中心に回っている。それを彼女自身がすごい作っているから。そこが一番大きいんじゃないかな。意思が芽生えた」と目を細める。
高梨との気の置けない関係を通じて、牧野氏が感じた彼女の凄さとは何だろうか。
「一言で言えないな……」と前置きし、次のように話した。
「ジャンプに関して言えば、本当に職人。真面目でずっと追求し続けている。何年経っても、『私はまだまだです』『ジャンプは完成しない』と言っているような職人気質のイメージがある。『いい感じになってきた』は聞いたことはあるけど、『もう完璧です』という言葉は聞いたことがないですね。1年が終わった時に、『いいジャンプって何本ある?』と聞くと、2、3本くらいしか出てこない。それくらい追求している。いい意味で頑固だし、自分の核をちゃんと持っている選手なんです」
(水沼 一夫 / Kazuo Mizunuma)