[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

フィギュアのリンク完成に「徹夜で7日間」 ミリ単位で選手を支える製氷員の職人芸

「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載。注目競技の一つ、フィギュアスケートは「フィギュアを好きな人はもっと好きに、フィギュアを知らない人は初めて好きになる17日間」をコンセプトに総力特集し、競技の“今”を伝え、競技の“これから”につなげる。

フィギュアスケートを裏で支える製氷作業の実情とは【写真:Getty Images】
フィギュアスケートを裏で支える製氷作業の実情とは【写真:Getty Images】

「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#12 連載「銀盤のささえ人」第1回・加藤商会

「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載。注目競技の一つ、フィギュアスケートは「フィギュアを好きな人はもっと好きに、フィギュアを知らない人は初めて好きになる17日間」をコンセプトに総力特集し、競技の“今”を伝え、競技の“これから”につなげる。

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

 連載「銀盤のささえびと」では、選手や大会をサポートする職人・関係者を取り上げ、彼らから見たフィギュアスケートの世界にスポットライトを当てる。第1回は直営のアイスリンク仙台を始め、日本各地のスケートリンクの管理・運営に携わっている(株)加藤商会の代表取締役・加藤松彦さん。製氷作業の苦労、リンク減少問題などについて語ってもらった。(取材・文=THE ANSWER編集部・宮内 宏哉)

 ◇ ◇ ◇

「放っておくと、どんどん氷は“熱く”なっていくんです」

 20年以上に渡り、製氷に携わってきた加藤さんならではの表現だ。スケートリンクに氷を張り、選手たちが滑ることができる環境を保ち続けるためには、想像以上の労力を必要とする。

 リンクの氷は、一般的に7センチ前後の厚みで作られる。シーズン初め、全く氷のない状態からだと「徹夜で7日間くらいかけて」完成させることもある。

 まずはリンク全面に、隙間なく冷却管を設置。これにマイナス13℃の不凍液を流し込み、その上に散水することで薄い氷の膜ができる。冷却管に隙間ができればそこに氷はできないし、温度調節がうまくいかないと溶けてしまったり、カチカチになりすぎたりする。

「最初は本当に、一度の霧散水で数ミリしか張ることが出来ません。これを何十回と繰り返して、一晩でようやく1センチくらい。リンクを作るときの最初の苦労ですね」

 五輪のような大きな大会で、仮に会場に1万人が集まれば、蒸気を吸収して氷の温度も1~2℃熱くなることもある。冷却機で氷の温度を保ち、まめに削って調整していく必要もあり、気が抜けない。

 演技の合間、リンクを移動する巨大な乗り物がテレビ中継に映ることもあるが、これは「製氷車」と呼ばれ、荒れた氷を整えるもの。平均2000万~3000万円という“秘密兵器”だ。

 製氷車は、ブレードと呼ばれる刃でリンクの飛び出た部分を削り、すぐ後から温かい水分を含んだ布で氷を少しだけ溶かす。すると表面はすぐに凍り、凸凹がなくなるという仕組みだ。まさに1ミリ単位、もしくはそれ以上に繊細に氷を扱っている。

1 2 3
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
ABEMA Jleague
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集