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「粗野なれど、卑にあらず」 生涯修行を貫き、五輪連覇した最強柔道家・大野将平の魂

柔道の大野将平(旭化成)がTHE ANSWERの単独インタビューに応じ、独自の言葉学について考えを明かした。東京五輪73キロ級で連覇を達成した柔道界の絶対王者。金メダル直後のインタビューで「自分が何者であるかを証明する戦いができた」とコメントし、その言葉がファンのみならず、他競技のアスリートに感銘を与えた。なぜ、大野は柔道だけでなく言葉も強いのか。後編では五輪連覇を達成した今、大切にしているという言葉を明かし、頂点を極めた柔道家としての哲学を語った。(文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

五輪連覇を達成した大野将平が今大切にしている言葉を明かした【写真:Getty Images】
五輪連覇を達成した大野将平が今大切にしている言葉を明かした【写真:Getty Images】

単独インタビュー後編、五輪連覇を達成した今大切にしている言葉

 柔道の大野将平(旭化成)がTHE ANSWERの単独インタビューに応じ、独自の言葉学について考えを明かした。東京五輪73キロ級で連覇を達成した柔道界の絶対王者。金メダル直後のインタビューで「自分が何者であるかを証明する戦いができた」とコメントし、その言葉がファンのみならず、他競技のアスリートに感銘を与えた。なぜ、大野は柔道だけでなく言葉も強いのか。後編では五輪連覇を達成した今、大切にしているという言葉を明かし、頂点を極めた柔道家としての哲学を語った。(文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

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 ◇ ◇ ◇

 五輪連覇を達成した大野将平が今、大切にしている言葉がある。

「粗野(そや)なれど、卑(ひ)にあらず」

 地元・山口から中学入学と同時に上京し、血の滲むような稽古を積んだ柔道界の虎の穴、講道学舎の恩師に授けられたものだ。

「荒削りの人間だけれども、卑しくない、卑怯ではないという意味。柔道家として尖っている部分もありますが、そうであっても悪者ではない。人間として完璧な人間はいないけれども、別に未完成なことを恥じることはないと思って受け止めています」

 なぜ、柔道界の究極の高みに上り詰め、この言葉に重きを置くのか。

「今も心のどこかでどうしても完璧であろうとしてしまう。周りは『五輪を2連覇した人』という見方になり、そこで背伸びをしてしまいそうになる。等身大で生きていれば、イライラする時もある。余裕がない時は忙しくて人に優しくできないこともある。

 あるいは取材を受けた時は失礼がなかったかなとか、自問自答する。時間が経って落ち着いたら後悔することは多々あるもの。もっと丁寧に受け答えすれば良かったとか。そういう時にやっぱり、その言葉を思い出して謙虚にやっていかなければいけない」

 到底、五輪連覇を達成した男には思えないほど、この男は常に謙虚さをまとい続けている。

「私自身、良い人間ではないし、粗削りな大野将平だと思います」と言う。「でも、自分自身は欠落している部分がある方が、人間くささがあって好きです。“いいひと”であることもない。完璧な人間はいないですし」というのが、偽らざる本音だ。

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