高橋大輔の人生は「漫画や小説にもない物語」 恩師が確信する“かなだい”の輝く未来
隆盛を極める近年の日本フィギュアスケート界には次々と新たな才能が頭角を現し、2月に開催される北京五輪でもメダル獲得への期待が高まっている。その土台を作った1人に挙げられるのが、数々のスケーターを育ててきた長光歌子コーチだ。高橋大輔を中学時代から長年指導し、2010年バンクーバー五輪での日本男子初の銅メダル獲得に導いた。そんな歴史を築いた名伯楽が語る「フィギュアスケート論」。今回はアイスダンサーとしての道を歩み出し、“かなだい”結成わずか2年で五輪出場権を争うまでになった教え子について語った。(取材・文=小宮 良之)
連載「名伯楽のフィギュアスケート論」第2回、“かなだい”を間近で見て感じたもの
隆盛を極める近年の日本フィギュアスケート界には次々と新たな才能が頭角を現し、2月に開催される北京五輪でもメダル獲得への期待が高まっている。その土台を作った1人に挙げられるのが、数々のスケーターを育ててきた長光歌子コーチだ。高橋大輔を中学時代から長年指導し、2010年バンクーバー五輪での日本男子初の銅メダル獲得に導いた。そんな歴史を築いた名伯楽が語る「フィギュアスケート論」。今回はアイスダンサーとしての道を歩み出し、“かなだい”結成わずか2年で五輪出場権を争うまでになった教え子について語った。(取材・文=小宮 良之)
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「(高橋)大輔の人生はいろんなことが伏線のように絡み合っていて、漫画でも小説でもないような物語になっている気がします」
フィギュアスケート界で多くの選手を育ててきた長光歌子コーチは、そう言ってアイスダンサーとしての道を歩み出した教え子について語った。
2021年12月の全日本選手権、長光は“かなだい”という愛称の村元哉中・高橋大輔組の臨時コーチとして、リンクサイドに立っている。コロナ禍で来日を断念せざるを得なかったマリーナ・ズエワコーチの“代打”だった。2019年12月の全日本で高橋がシングルを引退して以来となる、名コンビの復活だ。
「私はたくさんの選手を教えてきましたが、大輔は周りに必要な人が来てくれる。(アイスダンス界の名伯楽で五輪金メダリストを次々に輩出した)マリーナ(・ズエワ)は半分リタイアするつもりでいたはずですが、(声をかけた)タイミングが良く一緒にできて、だからこそ緻密に見てもらえた。(高橋とその周りは)必然と言うべきことが起こる。後から考えると、こういうことだったんだって」
全日本で“かなだい”は、リズムダンスでのたった一つのミスが響いて僅差での2位だった。しかし国際スケート連盟(ISU)が発表する世界ランキングで日本人最高位、ISUシーズン日本人ベストスコアを叩き出した躍進は、アイスダンスの人気向上にも一役買っていた。北京五輪の出場権は得られず、四大陸選手権、世界選手権の出場となったが、カップル2シーズン目とは思えない成果だ。
全日本での激闘を再び間近で見守った、かつての恩師が感じたものとは――。