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「あれは天賦の才」と恩師称賛 高橋大輔に見るフィギュア選手に必要な資質とは

――その執着が世界観を作ったんですね。

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「私にしたら、よく分からないこともありますよ(笑)。カラーコンタクトを入れたこともあったし、髪の毛も『なんでこんなのにするの!』って美容院に行くたび、もう大喧嘩ですよ(笑)。ニコライ(・モロゾフ/2005年から08年まで長光とともに高橋のコーチだった)がアメリカで美容院に連れて行ってくれた時、それが本当に気に入らなかったみたいで。『絶対にアメリカでは髪切らない』って頑なになって、『切りなさい』って言っても聞かず。その時に参加した大会ではすごいボリュームの髪になっていました(笑)。アメリカで切られるよりは良かったみたいで。(関西)大学に入り、神戸元町の美容院がタイアップで切ってくれるようになり、そこから安心できました。妙な頭にはなっていないなと(笑)」

――何より、その人柄が彼のスケートを形作っています。

「彼は優しいですね。クロアチアの大会に参加した時、信号を渡り切った後、『大輔がいない』って。みんなで振り返ったら、(横断歩道でまごつく)現地のおじいさんとおばあさんに付き添っていました。彼はおじいちゃんおばあちゃん子で、特におじいちゃんには大事に育てられたみたいで。だから昔からお年寄りには優しいんです。でも唯一、この年寄りには厳しいですね(笑)」

(第2回へ続く)

(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)

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長光歌子

関大アイススケート部コーチ 
1951年生まれ、兵庫県出身。66年の全日本ジュニア選手権で優勝するなど選手として実績を残すと、引退後は指導者として多くのスケーターを育てる。高橋大輔を中学時代から指導し、2010年バンクーバー五輪で銅メダル、同年の世界選手権で優勝に導いた。フィギュアスケートをこよなく愛し、現在は関大アイススケート部コーチを務める。

小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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