腰の低い五輪金メダリスト ボクサー入江聖奈、チヤホヤされても謙虚でいられる理由
俯瞰的に捉えた将来像「金メダリストの称号がなくなった時、周りは同じ対応なのか」
入江のボクシング人生は大学4年になる来年度まで。「(卒業後は)自分がどこでボクシングをやっているのか想像がつかない」。あと1年で引退し、多くの大学生と同じように就職すると決めている。
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今後の目標について「ボクシングを辞めた後でも、ちゃんと取柄(とりえ)が残るような人間にあと1年でなりたいなと思います」と語った。具体的にどういうことなのか。ニコっと細めた目は、将来を俯瞰的に捉えていた。
「無難な答えとして言えば人間性ですかね。やっぱり今は『金メダリスト・入江聖奈』というふうに見ていただけて、もてはやしてくださると思うんですけど。じゃあ社会人になってその称号がなくなった時に、周りが同じ対応をしてくれるのかと言ったら絶対にそうじゃないですよね。金メダリストとして見られなくなっても、みんなから褒めていただけるような人間になりたいなと思って。なので、そういう発言をしました」
常に高い目標を持ち、冷静に先を見通しているからこそ謙虚でいられるのだろう。
もう人間性は備わっているのでは? そんな質問には「いや、全然全然! 追い込まれた時に真の人間性が出ると思いますので(笑)。まだ今は余裕があるからいい感じに見えるだけで(笑)。全然全然。まだまだです、はい」と真っ向から否定。褒められてもガードは固い。笑いを織り交ぜた一方で、中身のある回答の多い時間だった。
矢継ぎ早に質問が飛んだ中、閉会式の時間が迫り、途中で打ちきりになってしまった。記者の輪から抜け出していく入江。「ありがとうございました。すいません、失礼いたします~。すいません、ありがとうございました~」。五輪女王の腰はペッコリと折られていた。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)