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「ワクワクする選手がいない」 大久保嘉人が日本の若手に警鐘「このままでいいのか」

大久保がオンライン取材で語った自主練の意義とは(写真はスクリーンショットより)
大久保がオンライン取材で語った自主練の意義とは(写真はスクリーンショットより)

キャリアを通じて技術と感覚を磨いた徹底的な自主練

 点が取れるストライカーの不足は、万国共通の悩みでもあるが、日本人で海外移籍を果たした多くのFWも、それぞれのクラブでレギュラーポジションを確保できていない。近年目立つ活躍をしている日本人ストライカーは鈴木優磨(シント=トロイデン)ぐらいで、日本代表でも主軸になっている伊東純也(ヘンク)はアタッカーであって、センターフォワードではない。

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「海外に行ってもすぐに活躍できる保証はないけど、俺は自分を磨くためにも若い選手は海外にどんどん出て行くべきだと思う。行かないと分からないことがたくさんあるし、やっぱりいろんな面で苦労もするけど、それがプレーにも反映されるんですよ」

 大久保はスペインのマジョルカとドイツのヴォルフスブルクに、海外移籍を果たしている。

「俺は行って良かった。当時、勢いがあってバンバン仕掛けてというプレーだったけど、スペインに行った時は、これは通用しないなって思った。みんな上手いからね。このまま同じことを続けていたらプレーできるクラブがなくなると思い、プレースタイルを変えた。例えばボールをキープしてタメを作るのが下手だったけど、それをできるようにした。練習ではミスすることが多かったけど、継続してトライしていかないと、いつまで経っても変わらない。でも、成功体験を重ねていくと、それが自信になって試合でもいいプレーができるようになる。今の若い選手ってチャレンジしないよね。なぜなら、そこでミスして怒られたら試合に出られなくなるから。でも、練習してチャレンジして、自信がついたら、その倍、成長できるし、代表まで行っちゃうよって思うけどね」

 大久保は、海外でプレースタイルの幅を広げ、優れたオールラウンダーとして生きる術を見つけた。だが、海外では点を求められることも理解し、Jリーグに戻っても点を取る感覚を鈍らせないように、よく自主練習をしていた。中学時代から続けてきた自主練は、「大久保嘉人」にかかる期待に応えるためには不可欠なものだった。

「シュートとかは、感覚なんですよ。例えばスーパーゴールを決めても、翌日にはその感触を忘れているんです。それを忘れないために毎日、シュートを打ち続けて、どこにボールが当たったらどのくらいのボールが飛んでいくのかを理解し、毎回スポットに当てられるようにしておかないといけない。それを1週間もやらないと、『あれ、どうやって当てるんだっけ?』ってなる。でも、みんな、そこまでやっていないよね。自主練していても最初の数本は参加してくるけど、俺よりも最後まで練習していた選手は見たことがない」

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大久保嘉人


 1982年6月9日生まれ、福岡県出身。国見高3年時に高校3冠を達成し、インターハイと高校選手権では大会得点王を獲得した。2001年にセレッソ大阪でプロキャリアをスタートさせると、闘争心溢れるプレーで存在感を発揮。03年に日本代表デビュー、04年にはU-23日本代表の一員としてアテネ五輪に出場、10年にはA代表の主力として南アフリカW杯ベスト16進出に貢献した。マジョルカ、ヴォルフスブルクでのプレーを挟みながらヴィッセル神戸に通算6シーズン在籍すると、13年に川崎フロンターレに移籍。1年目でキャリア最多26ゴールを決めると、史上初のJリーグ3年連続得点王の偉業を達成した。今季、古巣のC大阪に復帰し歴代最多となるJ1通算191得点にゴール数を伸ばすも、11月19日に今季限りでの現役引退を発表した。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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