陸上・新谷仁美のド直球な取材対応 人間臭さと熱量こそが「記者の意欲をかき立てる」
SNS全盛の時代「発信することに怖さは一切ない」、その理由とは
ただし、真っすぐすぎる言葉は時に反感を買う。本人の真意とは裏腹に、アスリートは「言わぬが花」「清廉潔白」を求められがち。SNS全盛の時代、直接攻撃される可能性だってある。それでも、新谷は批判を恐れずに言う。発信に覚悟と責任を抱えながら、だ。
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「人間なので間違ったら指摘はされるけど、自分でも間違ったことは言っていないと思っています。私は基本的に“自己中”ではあるけど、発信に関して怖さは一切ないですね。もし間違ったことがあれば、しっかり指摘してくれるコーチがいてくれるので心配していません」
顔も知らぬ誰かより、何よりも信頼を置く人の言葉。しっかりと正してくれる存在が信念の強さを裏付けている。
自身へのマイナス意見はどんな形で目にするのか。16分の取材の中で、こちらが大真面目に投げかけた問いには「イケメンから連絡が来るかな~と思って、インスタのDMはオープンにしています」。いや、そんなことを聞きたいわけでは……と思いつつも、緩急をつけたトークに引き込まれた。
競技直後の選手は興奮状態にあり、多くの記者、カメラに囲まれて緊張している場合もある。そんな時は日本語がめちゃくちゃになりがち。実は新谷も割とそんなタイプだ。都度、伝える側はニュアンスが変わらない程度に言葉を整える。“ぶっちゃけすぎた”発言は、多方面に配慮してカットされるなんてことも……。
表面的なコメントよりも、そんな人間臭さを漂わせた新谷の真っすぐな姿が、もっと聞きたい、伝えたいと思わせる。希代のランナーが発する熱々の言葉。締切時間、分量、社の方針など様々な制約がある中、話し手の熱量こそが時に記者の意欲をさらにかき立て、パソコンを開かせる。そう思った16分間だった。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)