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井上尚弥が負ける姿は想像できない 元世界王者が分析、ディパエン戦へ死角はあるか

油断は禁物も…気になる対抗王者の戦いと今後の動向

 最近ではライト級の4団体統一王者だったテオフィモ・ロペス(米国)が、世界的には無名だったジョージ・カンボソス・ジュニア(オーストラリア)に敗れるという大番狂わせがあった。無敵を誇ったマイク・タイソン氏もかつて、圧倒的有利と見なされていた試合で敗れたこともある。

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 特に挑戦者たちは、勝てば一気に人生が変わるため普段の120%増しで臨んでくる。世界的に知名度がある井上に勝てば、一気に注目される存在となるため、ディパエンも死ぬ気で向かってくるだろう。

 井上が負ける姿は想像できないが、ムエタイの経験があるタフな挑戦者を倒すのに苦戦する可能性はある。懸念はあるものの、井上が「どこに気をつけるというより、自分自身に気をつけないといけない」と話しているように、本来の実力を発揮できれば勝てる試合だろう。

 一方で、12月11日(日本時間12日)には、井上の対抗王者である2人の対戦にも注目したい。

 WBCバンタム級王者のノニト・ドネアは、WBC同級暫定王者のレイマート・ガバリョ(フィリピン)と対戦する。また、WBOバンタム級王者のジョンリル・カシメロ(フィリピン)も、同級1位ポール・バトラー(英国)と対戦する。同階級のライバル王者たちが同じタイミングで戦うため、結果によっては、どちらかとの統一戦が実現するかもしれない。

 ボクシングの場合、プロモーターが違うと試合実現に向けた交渉が困難になるが、王者同士のビッグファイトともなれば事情も変わってくる。

 井上は自身の最終ゴールを35歳に設定している。状況によって変わるかもしれないが、今が身体的にも一番ピークの時期なのは確かだ。今後も世界のトップで戦い抜くためには、今回の試合で勝利するのはもちろん、勝ち方も重要になるだろう。

 ボクシング関係者と話すと、必ず話題に上がるほどの選手だ。日本ボクシング史上最高傑作と言われた井上がどこまで行けるのか、注目したい。

(木村 悠 / Yu Kimura)

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木村 悠

1983年生まれ。大学卒業後の2006年にプロデビューし、商社に勤めながら戦う異色の「商社マンボクサー」として注目を集める。2014年に日本ライトフライ級王座を獲得すると、2015年11月には世界初挑戦で第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオンとなった。2016年の現役引退後は、株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動、社員研修、ダイエット事業など多方面で活躍。2019年から『オンラインジム』をオープンすると、2021年7月には初の著書『ザ・ラストダイエット』(集英社)を上梓した。

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