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サッカーと“性格別”の適性ポジション C.ロナウドの恩師に見る指導者の必須能力

スペインサッカーに精通し、数々のトップアスリートの生き様を描いてきたスポーツライターの小宮良之氏が、「育成論」をテーマにしたコラムを「THE ANSWER」に寄稿。世界で“差を生む”サッカー選手は、どんな指導環境や文化的背景から生まれてくるのか。今回はクリスティアーノ・ロナウドやカルレス・プジョルの少年時代のエピソードを引き合いに、ポジションごとに異なる選手の特性に注目している。

少年時代のクリスティアーノ・ロナウドに対してどのような指導を行っていたのか【写真:Getty Images】
少年時代のクリスティアーノ・ロナウドに対してどのような指導を行っていたのか【写真:Getty Images】

連載「世界で“差を生む”サッカー育成論」:C.ロナウドの恩師が重視した2人きりの対話

 スペインサッカーに精通し、数々のトップアスリートの生き様を描いてきたスポーツライターの小宮良之氏が、「育成論」をテーマにしたコラムを「THE ANSWER」に寄稿。世界で“差を生む”サッカー選手は、どんな指導環境や文化的背景から生まれてくるのか。今回はクリスティアーノ・ロナウドやカルレス・プジョルの少年時代のエピソードを引き合いに、ポジションごとに異なる選手の特性に注目している。

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 育成において、性格に合わせた指導は必須と言える。ポルトガル・マデイラ島でクリスティアーノ・ロナウドの少年時代の恩師に訊いた話は、それを裏付けていた。

「クリスティアーノ(ロナウド)は自尊心が強かったので、みんなの前では叱らないようにしていました。彼のような選手に公然とミスを指摘した場合、羞恥心から反発が強くなってしまう。でも2人きりなら、むしろしっかりと聞いてくれるんですよ」

 指導者は、まず選手の性格を見抜くことが欠かせない。戦術の難しいメソッドを習うことなどよりも、ずっと優先すべきである。選手の特性を見つめ、理解し、対話できないようなら、どんな指導も「ゼロの掛け算」だ。

 ロナウドの心理状態はいつも不安定だったという。それは恵まれていたとは言えない家庭環境に起因していた。敗北を許せず、とめどなく涙を流したのもその一つだった。

 しかし、ストライカーという“人種”はどこかに狂気を抱いている。その精神的不安定さが、相手を凌駕する後押しにもなる。競り合いを制し、冷徹にゴールを撃ち抜けるのだ。

「生来的な殺し屋」

 彼らはそう喩えられることがあるが、戦いにおいて躊躇なく引き金を引けるメンタリティだ。

 つまり性格によって、ポジションも違ってくる。各自、人間性に合うポジションがある。絶対に符合する必要はないが、同じか近いと、必然的に上達も早まるだろう。

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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