五輪人気からの「低迷」と戦うソフトボール界 足を運んで見るべき上野由岐子の緊張感
2021年も多くのスポーツが行われ、「THE ANSWER」では今年13競技を取材した一人の記者が1年間を振り返る連載「Catch The Moment」をスタートさせた。現場で見たこと、感じたこと、当時は記事にならなかった裏話まで、12月1日から毎日コラム形式でお届け。第8回は東京五輪で金メダルを獲得したソフトボールだ。ドキドキ感は五輪だけじゃない。9月のリーグ戦では選手たちの表情までも間近で見られた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
一人の記者が届ける「THE ANSWER」の新連載、第8回はソフトボール
2021年も多くのスポーツが行われ、「THE ANSWER」では今年13競技を取材した一人の記者が1年間を振り返る連載「Catch The Moment」をスタートさせた。現場で見たこと、感じたこと、当時は記事にならなかった裏話まで、12月1日から毎日コラム形式でお届け。第8回は東京五輪で金メダルを獲得したソフトボールだ。ドキドキ感は五輪だけじゃない。9月のリーグ戦では選手たちの表情までも間近で見られた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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東京五輪はハラハラドキドキの連続だった。見る者にとってはそれぞれ心に刺さった場面があっただろう。
上野由岐子は39歳になってもマウンドに立ち続けた。衝撃を走らせた金属バットの破壊。20歳の新ヒロイン・後藤希友が連発した強心臓の好リリーフ。藤田倭の3試合連続弾。狭いグラウンドでの守備は、数センチ動きを間違えれば即失点に繋がる。上野は金メダル獲得直後に涙を流し、抱えていたものの大きさを感じさせた。
「ソフトボールの熱を繋げていかなければいけない」
9月のリーグ後半戦開幕直前、2大会連続金メダルで日本を沸かせ、“熱”を実感した日本代表選手たちは口をそろえた。上野もその一人。「プレーする側の表情一つでもしっかり伝わるようにしたい」と熱意を込めていた。
ただ、ソフトボール界には一つの懸念がある。「神ゲッツー」で話題となった遊撃手・渥美万奈は「熱を繋げる」という言葉を繰り返し、危機感を募らせた。
「北京五輪の時もそうだったけど、ソフトボールは五輪後の最初だけ盛り上がって、後はどんどん低迷してしまった。それを経験している。いかに1年でも長く熱を冷まさせないかが私たちの仕事」
冬の時代を迎えるわけにはいかない。東京五輪決勝から40日後の9月5日、上野擁するビックカメラ高崎とホンダの後半戦開幕節(神奈川・大和スタジアム)を取材した。宿敵米国の代表選手も在籍する世界最高峰のリーグ。選手たちの全力プレーによって生まれる一つひとつのシーンが、ドキドキを生んでいた。