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記者にとって刺激的なアスリートのコメント クライミング野中生萌に好感を持てた理由

1月のボルダリング・ジャパンカップ、笑顔で質問に答える野中
1月のボルダリング・ジャパンカップ、笑顔で質問に答える野中

やる気がなかった=手を抜いた、ではない

 野中は「もう優勝もなかったので」とコメントした後、「言っていいのかな」と少し笑みを浮かべた。いろいろなところに配慮しつつ「大会の流れが面白くなかったというふうに思っていました」と感情を素直に表現した。心中は「やる気がなかった」とはいえ、「手を抜いた」とは意味合いが異なる。最後の壁と真摯に向き合う姿は確かにあった。ベストを尽くしたことに疑いはない。

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 当時はコロナ禍で東京五輪開催が不透明な状況。心境を聞かれた時は「結局やるのか、やらないのかっていう問題が出ていて、いつまでたっても決まらないなっていう気持ちがずっとある」と隠さない。初日の予選を終えた後、注目選手として当たり前のように優勝への意気込みを問われた時も正直だった。

「この大会にピーキングはしていないので『優勝』っていう強い気持ちがあるかと言ったら、そこまでではないんですけど。ただ、やっぱりトレーニングを頑張ってきているし、そこに対しての自信もあるので優勝は狙っていきたいとは思っています」

 ネット全盛の時代、一つの発言が意図しない形で広まってしまい、不利益を被るリスクだってある。何を言ってもいいわけではないが、素直に感情を出す選手は清々しいし、好感が持てる。

 東京五輪で銀メダルを獲得した野中は、24年パリ五輪に向けてクライミング界の“顔”として期待される。愚直で真摯な姿が競技普及にも繋がっていくことを願う。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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