走りを通じて学べる、人生に大切なこと 元五輪選手が宮古の子供たちと過ごす半年間
56個の骨がある“足”の重要性「これだけ骨があれば、いろんな動かし方ができる」
「人間は骨の数が206個と言われていますが、そのうち足首から下に何個あるか知っていますか?」と呼びかけた。子どもたちに教えた答えは56個。伊藤さんは「これだけの骨があれば、いろんな足の動かし方ができます。でも今は機能の良い靴をみんな履いていて、足を使えない子も多い。指が地面から浮いてしまう“浮き指”の人は日本人の50%以上いると言われています」と足首から下の“足”の重要性を説明した。
その上で「足の動かし方」強化メニューも実施。芝生の上で裸足になり、足の指にぐっと力を入れて「グー」にしたり、足の指を開いて「パー」にしたり、それぞれの形を保ったまま足首を上げ下げもした。「練習でたまに裸足で走ってみるといい」と伊藤さん。「靴はクッションがあるし、変な走りになってしまう子もいます。でも、裸足ではかかとをついて走らないし、自然とフォームが直る可能性もあります」とレクチャーした。
1時間半のクリニックの締めくくりに10メートルのケンケン、20メートルのスキップ、50メートル走のタイムを測定。7秒3台の中学1年生から10秒台の小学3年生まで。この数字を縮められるように取り組んでいくことになる。子どもたちが寒空の下、一生懸命に走る様子を温かい眼差しで見守った伊藤さんは「今日やったトレーニングを繰り返していくことが大事になるので頑張ってください」とエールを送った。
そして、イベントの最後には、この日のメインとなる「夢宣言」を実施。プログラムに参加する子どもたちが「将来の夢」「未来のわたしの街をどうしたいか」「半年後の約束」をノートに書き込み、みんなの前で発表していく。「見ている人に勇気を与えられるアスリートになりたい」「緑豊かな住みやすい街にしたい」「50メートルのタイムを0.3秒縮めたい」などと伊藤さんに向かって宣言していた。