渋野日向子とファンの密接な関係 春の沖縄で見た、プロとして「私がゴルフをやる理由」
沖縄の最終日、「伝えてほしいことは何か」を聞いた
紳士のスポーツとされるゴルフ。どの選手も同組の選手がいいプレーをすれば、「ナイスバーディー」などと一声かける。ミスをすれば、淡々と進めるのが普通の光景。ところが、同組選手がバーディーパットを惜しくも外した時、渋野はカクンと膝を折ってリアクションをとる。ゴルフをする上で、それもリズムの一つなのだろう。他競技と比べても長い約5時間のプレー。その場にいる全ての人と、時と空間を共有しているように見えた。
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19年は全英女子オープン優勝など、国内外5勝で時の人となった。大観衆の前でもありのまま。ロープ外から名前を呼ばれると、ペコペコと会釈で返す。コロナ禍以前、コース脇に小さな子供がいれば、自ら歩み寄ってハイタッチ。遠くから飛ぶ「ひなこちゃ~ん!」という幼い声。手が届かなければ、満面の笑みのアイコンタクトで応えていた。
「全英で優勝してから本当に凄く忙しかったけど、たくさんの人に支えられて頑張ってこられた。応援してくれる人たちもそう。感謝の気持ちしかない。いろんな人のために頑張りたい」
今年の国内ツアーは38試合中、有観客は15試合。渋野はそのうち10試合(全18試合)に出場し、2勝を挙げた。オフはプライベートも話題になってしまう。沖縄の最終日、プロゴルファー・渋野日向子に「伝えてほしいことは何か」を聞いた。真っすぐな想いに溢れていた。
「『テレビでは見たことがある』と言える人はいるかもしれないですけど、会場に来て見てもらいたいなっていう気持ちもあって。今、私がゴルフをやっているのって、ゴルフを知ってもらいたい、小っちゃい子に女子プロの世界を目指してほしい、そういうことを考えてやっている状態です。
やっぱり小っちゃい子にゴルフの楽しさを知ってほしい。それを言葉で伝えるのは凄く難しいんですけど。小っちゃい子からおじいちゃん、おばあちゃんまでできる競技。それはもうゴルフしかないと思う。いろんな人に楽しんでもらいたいって思います。まずはクラブを持ってみるとか、テレビでも見てみるとか。入れるようになったら、会場で見てもらいたいなって感じです」
彼女が今、努力を惜しまない理由の一つだろう。渋野は支えてくれる周りのスタッフたちを「チームしぶこ」と呼ぶ。そこにはギャラリーも含まれているに違いない。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)