高校生の熱意が生んだ小児がん支援の波 Bリーグ群馬「レモネードスタンド」がつなぐ思い
企業とプロチームを動かしたのは自ら作成した企画書とプレゼン
不慣れなプレゼンでも、自分の言葉で一生懸命に伝えようとした松岡さんの真っ直ぐな思いが伝わった。
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ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社からレモネードの商品と備品提供が決まり、株式会社オープンハウスからも備品提供が行われることになった。
そして、もう1か所、松岡さんの思いを汲んでくれたのが、群馬クレインサンダーズだ。今季からB1リーグに昇格したプロバスケットボールチームは、松岡さんが通う学校の体育館をたびたび練習場所として使っており、身近な存在でもあった。昨季、B2からの昇格を決めた試合は実際に会場で声援を送ったほど。だからこそ「太田市での群馬クレインサンダーズの存在感は大きい」と感じている。
多くの人に『レモネードスタンドプロジェクト』を知ってもらいたいが、自分は普通の高校生に過ぎない。自分の発信力だけでは足りないと考え、「地元に根差して活動している群馬クレインサンダーズさんなら、僕の発信が届かないもっと広い範囲の人たちにまで声が届くのではないか」と協力を求めた。
発案当初は、自分にできる範囲内で行う想定だったため、小さい子供が小遣いの範囲内で買える100円でレモネードを販売するイメージだったという。気が付けば、それは企業とプロスポーツチームを動かすビッグプロジェクトになっていた。
企画書は賛同する関係者のアドバイスをもとに微修正を重ね、最終的には月に1度、群馬クレインサンダーズのホームゲーム開催時に太田市運動公園市民体育館屋外販売エリアで、1本200円で販売。そこにプラスする形で、賛同者から寄付を募ることにした。
10月9、10日、群馬クレインサンダーズの今季ホーム開幕戦。松岡さんは同じ学校のプロジェクトメンバー5人と一緒に2日間、レモネードスタンドに立ち、協力を呼びかけた。
「当日は朝から緊張していて、備品を用意して机に並べるだけでも『合っているのかな? 大丈夫かな?』とすごく不安でした。当初は1日100本ぐらいを目指していて、どんなに集まっても2日間で200本ぐらいかなと思っていたんです。
もちろん群馬クレインサンダーズさんの試合会場なので、試合を見に来た方に買ってもらうことを一番の目的としていたんですが、事前に告知していたSNSを見て来てくださった方もいました。それにアウェイ側のファンの方も買ってくださったんです。『頑張ってね』ってすごくうれしい言葉をたくさん掛けてもらって、本当にうれしかったですね。ちょっと涙が出そうなぐらい、こんなに優しい人がたくさんいるんだなと。全然興味を示してもらえないのかなと思っていたので、すごくうれしかったです!」