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日本人選手が模範とすべき中田英寿らの生き方 海外の環境に「迎合する必要はない」

スペインサッカーに精通し、数々のトップアスリートの生き様を描いてきたスポーツライターの小宮良之氏が、「育成論」をテーマにしたコラムを「THE ANSWER」に寄稿。世界で“差を生む”サッカー選手は、どんな指導環境や文化的背景から生まれてくるのか。4回目となる今回は、中田英寿や長谷部誠、岡崎慎司など海外で成功を収めた名手を例に、日本人選手が海外で戦う上で必要な心構えに迫る。

中田英寿はどのようにして世界の強豪たちと渡り合っていったのか【写真:Getty Images】
中田英寿はどのようにして世界の強豪たちと渡り合っていったのか【写真:Getty Images】

連載「世界で“差を生む”サッカー育成論」:日本人選手が突き詰めるべき戦い方

 スペインサッカーに精通し、数々のトップアスリートの生き様を描いてきたスポーツライターの小宮良之氏が、「育成論」をテーマにしたコラムを「THE ANSWER」に寄稿。世界で“差を生む”サッカー選手は、どんな指導環境や文化的背景から生まれてくるのか。4回目となる今回は、中田英寿や長谷部誠、岡崎慎司など海外で成功を収めた名手を例に、日本人選手が海外で戦う上で必要な心構えに迫る。

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 日本人サッカー選手は、どう世界と戦うべきか――。その回答に挑むことは、世界で「差を生む」サッカー育成論に通じる。

 一つ言えるのは、「世界の誰かを真似をすることはない」ということだ。

 例えば、ファウルを受けたように見せかけるのが上手い選手がいたとする。マリーシア(ずる賢さ)ともてはやすような意見もあるだろう。しかし、世界最高の選手であるリオネル・メッシはマリーシアを拒絶しているからこそ、ピッチ上で誰からも尊敬を受け続ける。ネイマールは下手に“演じる”のが上手かったことで、本当の意味でリスペクトを受けられなかった。

「絶対に倒れるな!」

 むしろ、愚直な教えがプレーヤーとしての核になるなら、それも悪くはないだろう。

 言うまでもないことだが、日本人はワールドカップ(W杯)を制したブラジル人とも、イタリア人とも、アルゼンチン人とも、フランス人とも、ウルグアイ人とも、スペイン人とも似ても似つかない。行動規範や道徳がまるで違う。質実剛健なドイツ人とは、いくらか共通点があるが……。

 結局のところ、日本人は日本人の戦いを突き詰めるしかない。

 日本人は一般的に勤勉、実直、控えめである。努力を怠らず、秩序、規律を守る。そしてディテールの技術習得に関して強い向上心を持ち、例えばリフティングにここまで没頭する国民性は珍しい。プレーを積み上げていくことを得意とし、それは献身性にも通じ、外国人が日本人選手のキャラクターを語る時の特徴でもあるだろう。

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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