日本人選手が模範とすべき中田英寿らの生き方 海外の環境に「迎合する必要はない」
スペインサッカーに精通し、数々のトップアスリートの生き様を描いてきたスポーツライターの小宮良之氏が、「育成論」をテーマにしたコラムを「THE ANSWER」に寄稿。世界で“差を生む”サッカー選手は、どんな指導環境や文化的背景から生まれてくるのか。4回目となる今回は、中田英寿や長谷部誠、岡崎慎司など海外で成功を収めた名手を例に、日本人選手が海外で戦う上で必要な心構えに迫る。
連載「世界で“差を生む”サッカー育成論」:日本人選手が突き詰めるべき戦い方
スペインサッカーに精通し、数々のトップアスリートの生き様を描いてきたスポーツライターの小宮良之氏が、「育成論」をテーマにしたコラムを「THE ANSWER」に寄稿。世界で“差を生む”サッカー選手は、どんな指導環境や文化的背景から生まれてくるのか。4回目となる今回は、中田英寿や長谷部誠、岡崎慎司など海外で成功を収めた名手を例に、日本人選手が海外で戦う上で必要な心構えに迫る。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
◇ ◇ ◇
日本人サッカー選手は、どう世界と戦うべきか――。その回答に挑むことは、世界で「差を生む」サッカー育成論に通じる。
一つ言えるのは、「世界の誰かを真似をすることはない」ということだ。
例えば、ファウルを受けたように見せかけるのが上手い選手がいたとする。マリーシア(ずる賢さ)ともてはやすような意見もあるだろう。しかし、世界最高の選手であるリオネル・メッシはマリーシアを拒絶しているからこそ、ピッチ上で誰からも尊敬を受け続ける。ネイマールは下手に“演じる”のが上手かったことで、本当の意味でリスペクトを受けられなかった。
「絶対に倒れるな!」
むしろ、愚直な教えがプレーヤーとしての核になるなら、それも悪くはないだろう。
言うまでもないことだが、日本人はワールドカップ(W杯)を制したブラジル人とも、イタリア人とも、アルゼンチン人とも、フランス人とも、ウルグアイ人とも、スペイン人とも似ても似つかない。行動規範や道徳がまるで違う。質実剛健なドイツ人とは、いくらか共通点があるが……。
結局のところ、日本人は日本人の戦いを突き詰めるしかない。
日本人は一般的に勤勉、実直、控えめである。努力を怠らず、秩序、規律を守る。そしてディテールの技術習得に関して強い向上心を持ち、例えばリフティングにここまで没頭する国民性は珍しい。プレーを積み上げていくことを得意とし、それは献身性にも通じ、外国人が日本人選手のキャラクターを語る時の特徴でもあるだろう。