2年ぶりに大船渡で果たした再会 伊藤華英さんが10人の子供たちと歩む「夢」の半年間
伊藤さんが伝えた言葉「努力した過程が自分だけの宝物になる」
締めくくりには、トークコーナーで伊藤さんが幼少期から五輪選手になるまでの道のりについて明かした。小1でスイミングスクールの選手コースに転向。小5から2年間は中学受験のため水泳を離れたという。しかし、中学入学後にできた友達に「一緒に水泳部、入ろう」と誘いを受け、もう一度、水泳の道へ。そのひと言がきっかけとなり、五輪にまで道がつながっていった。
「もともとはあまり目立ちたくないような子供だった。でも、チャレンジをしたから違う自分に出会うことができた。みんな、自分が思っている以上に能力を持っているから、いろんなことにチャレンジしてほしい。そのためには好きなことを見つけ、楽しむこと。好きだから、何事も続けられる。私みたいに一度辞めても、チャンスは何回も訪れるから。やりたいことを、自信を持ってやってほしい」
その後も日本新記録を出した当時の思い出などを明かし、大会運営に携わった東京五輪についても言及。「日本の選手がメダルをたくさん獲得したことは素晴らしいけど、その陰には充実して去っていく選手も、悔しい思いをして去っていく選手もいる」とした上で「努力した過程、頑張ったことが自信になり、自分だけの宝物になっていく。そんなスポーツの深みも伝わる大会でした」と話し、子供たちの質問にも答えた。
あっという間だった2時間半。閉会式で、伊藤さんは「昨年は来られず、ようやく大船渡に来られて皆さんに感謝しています。何より一生懸命みんながやってくれることが私の喜び。これから動画を通じてになるけど、動きを見ていると最近練習できてないのかなとか、ごはん食べ過ぎちゃったのかなとかも見れば分かるので。実際に会えるような気持ちで動画を楽しみにしています」と呼びかけた。
今後は動画を通じたやりとりを繰り返しながら、来年3月に予定される成果発表イベントで大船渡を訪れ、再会する予定。距離を越え、年を追うごとに絆が深まる1人の元オリンピック選手と10人の子供の絆。秋、冬と過ぎ、やがてやってくる春に、どんな姿で会えるだろうか。
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)