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仙台育英21連覇の裏に敗戦校の成長 ラグビー元日本代表主将が贈った言葉

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周りを思いやることの大切さ、「60分間は幸せな時間」

「試合に出た選手は悔しい気持ち、思い残すところもたくさんあると思う。でも、怪我があって出られなかった選手、色々な事情でピッチに立てなかった選手の思いを背負ってグラウンドに立っていたのだから、そういう意味でこの60分間は幸せな時間だったと思います。今回、3年生で試合に出られなかった選手は、その悔しい思いをしっかりと後輩に伝えてほしい。卒業してからもラグビーを続ける機会があれば、その場所でラグビーを楽しむことを忘れずに続けていって下さい。

 1年生、2年生は、これからまた新しいシーズンが始まって、先輩たちが成し得なかった『優勝』という目標を自分たちがどうやったら実現できるのか。今日の点差を見て、今日の試合を振り返って、次に向けて自分たちに何が必要なのかというのを自分なりに考えることが大事です。監督やコーチの方たちとも話をして、来年もこの場所に立つこと。そして仙台育英を倒して、悔し涙ではなくて、感動して嬉し涙を流しながら、この場所で話ができることを期待しています」

 高校ラグビー部で一緒に汗を流した仲間たちとの思い出は卒業後も心の支えとなり、培った経験や仲間を思いやる気持ちは社会に出てからも大いに役立つと菊谷は言う。石巻工業はこの日、敗れはしたが、目標に向かい汗を流した日々は決して無駄にはならない。菊谷自身、チームの輪や仲間を思いやることの大切さを学び、ラグビー日本代表の主将を任されるまでになった。

 石巻工業の3年生はここで引退となるが、1、2年生はすぐに新人大会が始まる。菊谷は言う。

「石巻工業は、ひたむきに攻めるというところが試合に出ているチーム。今日の決勝では負けてしまったんですが、3年連続決勝の舞台に立てるということは素晴らしいことだと思います。仙台育英は21年連続で花園に出場し続けている素晴らしいチームです。大きな壁ではありますが、それがいい目標となっています。向上できる部分は、まだまだ多くあるので、これからも決勝の舞台に立てるように、そして仙台育英を倒すという思いを持って、これから強化していくことができればと思っています。ただ、仙台育英も同じように厳しい練習をしているので、それ以上の厳しい練習をしていかなければいけないと思います」

 3年連続決勝の舞台で王者相手に苦杯をなめたが、闘志は消えていない。菊谷をはじめとするキヤノンイーグルスと石巻工業の挑戦はこれからも続く。

【了】

ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer


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