ホテル&クリニック併設の“170億円新天地” パナソニックが目指す日本ラグビーの未来
国内ラグビーの新リーグ「ジャパン・ラグビー・リーグワン」は来年1月7日の開幕へ準備を進めている。従来のトップリーグ(TL)からプロ化への段階的な移行を踏まえて発足する新リーグで、初代王者を狙うのが埼玉パナソニックワイルドナイツ。その現場の実質上トップに立つ飯島均ゼネラルマネジャー(GM)に話を聞いた。
吉田宏記者のコラム、パナソニックの飯島GMインタビュー前編
国内ラグビーの新リーグ「ジャパン・ラグビー・リーグワン」は来年1月7日の開幕へ準備を進めている。従来のトップリーグ(TL)からプロ化への段階的な移行を踏まえて発足する新リーグで、初代王者を狙うのが埼玉パナソニックワイルドナイツ。その現場の実質上トップに立つ飯島均ゼネラルマネジャー(GM)に話を聞いた。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
前身の三洋電機ラグビーを監督として率い、親会社の吸収合併でチーム生き残りに奔走するなど、グラウンド内外で手腕を振るうキーマンが、新リーグの意義やチームが目指すもの、熊谷移転での新たな挑戦と、熱い思いを語った独占インタビュー。最強軍団の敏腕GMの言葉から、日本ラグビーの未来が見えてくる。(文=吉田宏)
◇ ◇ ◇
開幕まで4か月あまり。日本ラグビーの変革を担うリーグワンへ、ワイルドナイツが本格的に動き出したのは8月30日のことだった。最終工事が続く中で、埼玉県営熊谷ラグビー場に隣接する地で、新たに造成された専用グラウンドとクラブハウスを使ってのチーム練習がスタート。野武士軍団の“ボス”飯島GMも、真新しいクラブハウス2階のチームラウンジから、エメラルドグリーンに輝く真新しいピッチを眩しそうに見渡した。
「60年の歴史がある群馬(太田市)と折り合いをつけて、我々は熊谷にやってきた。怒った人もいっぱいいましたよ。大変なことでした。でも、大きな問題があれば、その時は私の首を切っちゃえばよかっただけですからね。重要なのは、移転したからこそ得ることが出来る恩恵がどれだけあるかです」
延床面積2000平方メートルのクラブハウスに、同700メートルの室内練習場、いまは1面だけのグラウンドも来年には隣接するサブグラウンドが完成する。外部に業務委託するホテルは、ゴール裏からの壮観なグラウンドの眺めが大きな売りになる。そして、それらの施設の背後には、2万4000席の熊谷ラグビー場が横たわる。練習場から眺めると、国際基準のスタジアムが、あたかもワイルドナイツの持ち物のようなロケーションだ。この新天地には、従来のTLチームが続けてきた、いわゆる“部活”とは別次元の新たな挑戦が盛り込まれている。
「今回、私たちは、ホテルの横にクリニックを作っています。他にも、サイクルステーションというレンタルサイクルの店も作っています。(別資本も含めて)投資額を合わせると170億円超になる。私たちが太田に残っていたら年間7000万円弱くらいのコストがかかっていましたが、熊谷ではラグビー場のあるこの土地は埼玉県の所有で、施設は県協会が造っている。土地代などが減免され、県協会に賃料は払っているが、ここの施設に参入する企業、人たちとは、私たちのスポンサーになってくれることも話し合っています。
だから、結局賃料とスポンサー料で相殺されることになる。パナソニックの幹部に訴えたのは、ここに移れば170億円の資産が優先的に利用出来て、50億円弱の商売が可能だということです。なおかつ私たちにかかるイニシャルコスト、ランニングコストは0円ですから、こんなうまい話はあるのかということです」
今年5月にワイルドナイツの優勝で幕を閉じたTLは、いわゆる企業スポーツとして運営されてきた。一部選手はプロ契約を結んでいるが、チームの収益性は0に等しく、運営資金の出どころは企業頼み。福利厚生費や広告費などで賄われてきた。リーグワンでは、3~4シーズンを1単位とした「フェーズ」という区切りで大会フォーマット、参入規約などを見直しながら、事業性を重視し、段階的にプロリーグへ移行していくロードマップが描かれている。