GKが選ぶ「凄いGK」第1位、仙台スウォビィクは何が凄いのか 楢﨑正剛が対談で迫る
スポーツチャンネル「DAZN」とパートナーメディアで構成される「DAZN Jリーグ推進委員会」との連動企画で、元日本代表GKとして活躍した楢﨑正剛氏は7月の「月間ベストセーブ」にベガルタ仙台のGKヤクブ・スウォビィクのプレーを選出。第21節の浦和レッズ戦、第22節の北海道コンサドーレ札幌戦で見せたプレーから3シーンを選出した。
【DAZN月間表彰】7月のベストセーブは苦しむチームを鼓舞する守護神の確かなセーブ
スポーツチャンネル「DAZN」とパートナーメディアで構成される「DAZN Jリーグ推進委員会」との連動企画で、元日本代表GKとして活躍した楢﨑正剛氏は7月の「月間ベストセーブ」にベガルタ仙台のGKヤクブ・スウォビィクのプレーを選出。第21節の浦和レッズ戦、第22節の北海道コンサドーレ札幌戦で見せたプレーから3シーンを選出した。
DAZNの別番組の企画で現役GK62名に行ったアンケートから「今季すごいと思ったGK」の第1位に選ばれたスウォビィク選手。過去には楢﨑氏もその凄さを「THE ANSWER」で語っていただけに、待ちに待った対談が実現した。
◇ ◇ ◇
楢﨑「スウォビィク選手、はじめまして。今日はよろしくお願いします!」
スウォビィク「楢﨑さん、はじめまして。日本のレジェンドプレーヤーに月間ベストセーブとして選出していただいて光栄です。ありがとうございます」
楢﨑「僕はレジェンドではないですよ(苦笑)。同じピッチで対戦できなかったのが残念です。ところで、スウォビィク選手はチームメイトにどのように呼ばれていますか?
スウォビィク「クバと呼ばれています。だから楢﨑さんもぜひ、そう呼んでください!」
楢﨑「ではクバ選手、よろしくお願いします。今回、7月の月間ベストセーブとして3つのシーンをチョイスさせてもらいました」
スウォビィク「実は自分のことを話すのがあまり得意ではないんです。でも貴重な機会なので頑張ります」
楢﨑「僕も苦手なので大丈夫です(笑)。リラックスしていきましょう!」
スウォビィク「よろしくお願いします」
――最初のシーンは第21節浦和レッズ戦、6分のシーンです。右サイドの西大伍選手からのクロスをキャスパー・ユンカー選手が頭で合わせて狙いましたが、スウォビィク選手が見事にセーブしました。
楢﨑「試合序盤のビッグプレーでGKとしてはリズムを掴みやすい反面、『大変な試合になるな』という予感もあったのでは?」
スウォビィク「浦和のような強豪チームとの対戦では、とにかく集中することが大切と自分に言い聞かせています。特に試合の立ち上がりは重要な時間帯なので、ここでセーブできたことはチームにとっても自分自身にとっても大きかったと思います」
楢﨑「スピードのあるクロスボールと打点の高いヘディングは守る側にとって非常に難しい。この場面はどのような思考で対応したのですか?」
スウォビィク「まずサイドからゴール前にボールが入ってきた時点で、クロスボールに対して自分が前へ出てアプローチするのか、それとも構えてシュートへの準備をするのかという判断がありました。瞬時の判断ですが、自分はシュートに備える選択をして良いポジショニングを取ることができたからこそ、結果としてシュートを防げたのだと思います」
楢﨑「GKという専門職の経験者からすれば一般的な考え方だけど、あまり語られないことをクバ選手が言ってくれました。僕も今現在、指導者の立場として、まずはクロスに対してキャッチや弾くといったプレーを狙うことを伝えていて、そのためにはゴールマウスを飛び出していいかどうかの判断があります。次に、前へ出られなかった時には正しいポジションを取ってシュートに対してリアクションする準備をしなければいけません。一つひとつの動作に順番と判断があって、クバ選手が言ってくれたことはベーシックなことだけど、それを正しく正確にやれているからこそのファインセーブです」
スウォビィク「褒めていただけるのはうれしいのですが、照れますね(笑)。ポーランドでプレーしていた時期に、あるコーチから『サッカーはチェスに似ている』と言われたことがあります。チェスは盤面上で相手の出方をうかがいながら、こちらがどのような手を打つかを判断して実行するゲームです。サッカーも似た性質があって、この場面でも相手をしっかりと見て判断できたことがシュートセーブにつながったと思います」
楢﨑「このシーン、シュートがたまたま正面に飛んできて運が良かった、で終わらせてしまう人がいるかもしれない。でも、さまざまな判断がある中で最も良いポジションを取っているからこそ正面で受けることができた。クバ選手は腕を伸ばす、体を倒すといった動作にも優れているけど、それ以前のベーシックな部分が素晴らしいパフォーマンスにつながっていることを再認識できました」
スウォビィク「日本には才能ある選手がたくさんいて、個々の技術がとても高いと感じています。だから、こういったベーシックなところで相手のストライカーに対して先手を取って行動することが大事だと感じます」