海外記者に言われた「ありがとう」 19歳専門学生、五輪ボランティアの夏が「夢」後押し
年齢や職業も違うキャストと貴重な交流「世界が広がった」
ボランティアの年齢層、国籍はさまざまだった。交流の中で得られる経験が一番の財産になったと中野さんは言う。
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「今回のボランティアを通して、普段だったら絶対にかかわらないような年齢や職業の方からたくさんの話を聞くことができた。海外経験のある人もいて、世界が広がった。そこがボランティアの魅力。一緒に活動した人と最終日に会場内で写真を撮ったり、ごはんを食べたりも思い出です」
ボランティア業務をこなしながら、貴重な瞬間にも立ち会えた。
心に残ったのは、男子シングルスの準決勝でノバク・ジョコビッチ(セルビア)に勝利したアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)の紳士的な姿だった。
「ジョコビッチ選手とやった試合を見て、好きになりました。試合のプレーももちろんですけど、終わった後にちゃんと相手を称えていた。すごく泣いていたのが印象的で、それを見てジョコビッチ選手が笑顔で抱き寄せていた。応援したいな、と思いました。試合中、ボールを客席に飛ばしたり、ポールパーソンにボールを投げたりする選手も多いけれど、そういうこともしない優しい選手でした」
コロナ禍で開催された異例づくめの五輪。自宅でのテレビ観戦が呼びかけられ、海外の選手の行動も制限されている東京で五輪の雰囲気を感じることは難しい。それでも、会場で感じたのはスポーツの熱気だった。
「私は将来、スポーツのイベントでお客さんに楽しんでもらえる企画を考える仕事がしたい。こういう暗い状況の中でも、スポーツが届けられる力はすごいなと感じました。夢に向かう気持ちが強くなりました」と中野さんは笑顔で前を向いた。
(THE ANSWER編集部)