前回リオ五輪から36%減、米国で東京五輪テレビ視聴が低調 背景に圧倒的スター不在
「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、実施される競技の新たな知識・視点のほか、平和・人権・多様性など五輪を通して得られる様々な“見方”を随時発信する。在米スポーツライター・岡田弘太郎氏は「米国のミカタ」を紹介する。今大会は米国でテレビ視聴が低調に陥っている。その背景にあるものを米メディアの分析をもとにひも解く。
連載「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#65
「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、実施される競技の新たな知識・視点のほか、平和・人権・多様性など五輪を通して得られる様々な“見方”を随時発信する。在米スポーツライター・岡田弘太郎氏は「米国のミカタ」を紹介する。今大会は米国でテレビ視聴が低調に陥っている。その背景にあるものを米メディアの分析をもとにひも解く。
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米国で東京五輪の視聴が低調のようだ。五輪の独占放映権を持つ大手メディアNBCユニバーサルによると、東京大会開会式のテレビ視聴者数は1690万人で、前回のリオデジャネイロ五輪から36%、2012年のロンドン五輪から58%減ったという。7月27日までの夜間プライムタイムの平均視聴者数も、前回五輪から42%減少した。
テレビ視聴が低迷する要因としては、近年顕著となっているテレビ離れや日本との時差に加え、米国の人気体操選手シモーン・バイルスの欠場やテニスの大坂なおみの敗退なども影響しているとみられている。ロイター通信によると、NBCユニバーサルのジェフ・シェル最高責任者(CEO)は「五輪の1年延期や無観客での開催など、いくつものマイナス要因があった。それらが期待を下回る結果につながっている」と見解を述べた。
ワクチン接種が進んでいる米国は新型コロナを乗り切った高揚感に包まれており、当初五輪への関心も高まるとの期待もあった。NBCユニバーサルも過去最高規模の放送時間を計画。動画配信サービス「ピーコック」では人気ラッパーがコメンテーターを務める番組を放送するなど幅広い視聴者層を獲得するために、様々なプラットフォームでの放送を採用した。
ロイター通信は低視聴者数の要因として「視聴のプラットフォームやデバイスの選択肢が増えたことで、逆に視聴者が観たい競技を見つけられないでいる」と指摘。さらにNBCが6つのケーブルチャンネルに加え、ピーコックなどの複数の動画配信サービスで競技を無料放送する一方で、バスケットボールなどの一部競技が有料であったり、ピーコックでは開会式が観れなかったりと、サービスの不透明性が視聴者を混乱させたとの見方を示した。