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「彼がいなければ失点増えている」 元日本代表はなぜ16位に沈む仙台GKを絶賛するのか

第16節の名古屋戦で見せたスウォビィクの高いコーディネーション能力

 この試合で今季2勝目を手にした仙台だが、勝利の立役者となったスウォビィクは4日後の名古屋グランパス戦(1-0)でも好セーブを連発。いわゆる“ウノゼロ”で2連勝の原動力となった。

 仙台が1点リードで迎えた63分、名古屋のMF前田直輝がDF成瀬峻平とのパス交換で右サイドを突破。マイナス方向のリターンパスを受けた前田は体を倒しながらGKの意表を突くタイミングでスライディングシュートを放ったが、スウォビィクはしっかり反応して右手でブロックした。

 楢崎氏が言及したのは、前田がシュートを放ったタイミングでゴール前に詰めていたFW山崎凌吾の動きだった。

「スウォビィク選手がシュートストップする時には山崎選手の動きも視界に入っていたはずです。映像で確認すると、角度的にブラインドになっていた可能性があって、もしかしたら山崎選手が少しだけ触ってコースが変化するかもしれない。そういったことが脳裏をよぎってシュートそのものに対する反応が遅れ気味になるのは仕方ないのですが、そこからの反応速度が素晴らしい。手に当たって入ってしまいがちな場面でも、後ろにボールを行かせないという気概を感じました」

 絶対にゴールを死守するという強い覚悟は88分のプレーからも見て取れたという。1点を追う名古屋はDF森下龍矢が左サイドからゴール前へラストパスを送り、これに反応したMF相馬勇紀が合わせる。スウォビィクは持ち前の反応速度を生かしてシュートを止めると、こぼしたボールに誰よりも早く反応して相手の攻撃を終わらせた。

「GKにとってコーディネーション能力はとても大事な要素です。この場合で言えば、一度倒れてからすぐに起き上がってセカンドアクションした部分。スウォビィク選手は欧州の選手らしく腕が長く、身体的な強さもあります。でもこれだけサイズがあるのに俊敏な動きもできるところがすごい。大きくて動けるというのは強みだと思います」

 仙台はここまで16位。ピンチが多ければ多いほど登場回数が増えるのはGKにとっての宿命で、一方で力の見せどころでもある。

「彼がいなければもっと失点が増えているかもしれません。それくらい仲間に勇気を与えるプレーを見せ、チームに良い影響をもたらしています。その甲斐あってか5月に入ってからシーズン初勝利を含め3勝を挙げ、首位の川崎フロンターレとの対戦でも2-2で引き分けました。スウォビィク選手のパフォーマンス抜きに今の仙台を語ることはできません」

 チーム状況にかかわらず自身の仕事を貫徹し、その繰り返しで好気流を呼び込む。逆境に強いGKこそ守護神と呼ぶにふさわしい。

(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)

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