五郎丸歩がラグビー界に残せたと誇れること 32年間、楕円球を追った男の自負と深い愛情
五郎丸が「一つ、ラグビー界にこれだけは残せた」と誇れること
楕円球を追いかけ、情熱を燃やし続けた32年間。世界で戦い、一時はいわゆる時の人になり、競技を代表する一人になった。ピッチの中で、ピッチの外で果たしてきた功績は計り知れない。だから、敢えて本人に聞いてみた。
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一つ、自分でラグビー界にこれだけは残せたと誇れることは何か。
「なぜ日本代表の中に外国人がいるかを理解してもらう。これは自分が成し遂げた大きなものではないか」と言った。2015年W杯の南アフリカ戦の勝利後ほどなく、自身のツイッターでこんなメッセージを発信し、快挙に酔いしれる日本で話題を呼んでいた。
「ラグビーが注目されてる今だからこそ日本代表にいる外国人選手にもスポットを。彼らは母国の代表より日本を選び日本のために戦っている最高の仲間だ。国籍は違うが日本を背負っている。これがラグビーだ」
94文字のメッセージについて「もし結果を残せず、南アフリカに負けて同じ内容を発信しても、伝わらなかった。でも、活躍しているのが日本人で、その日本人が言うから初めて伝わる。ここは自分としては大きく風潮を変えた1人になれたと思っている」と話した。
「それまで世の中の外国人選手にまつわる声はまあ……ネガティブでした。日本代表としては、2012年から一つずつ歴史を変えてきました。でも、2013年に欧州チャンピオンのウェールズを秩父宮で倒したけど、これも注目されず、翌日の一面に出てくるのは野球、サッカーでした。
翌年にイタリアを倒した時もそう。自分たちの世界では変わっているけど、世の中は変わらない。やっぱりW杯しかないと、その時に凄く思いました。実際に結果を残すことができ、自分たちの目標(1次リーグ突破)には届かなかったけど、一定のメッセージを出せたと感じています」
終始、冷静な口調であっても伝わってくるのは、これまでラグビー界に尽くしてきた自負と、これからも尽くしていこうという愛情。
五郎丸にはシンプルで壮大な目標がある。それは「1つの家庭に1個、ラグビーボールがある日本になる」ということ。だから、自身はピッチで燃やしてきた情熱を、これからはピッチの外で還元すると心に決めている。
最後に「『だから、ラグビーは面白い』と子供たちに勧められる理由を教えてください」と聞いてみた。
「ラグビーにはどんな子でも活躍の場がある。そういう子たちの集まった中でチームを作っていく過程はほかの競技にない面白さ。何か別の競技で挫折したり、このスポーツいやだと思ったりした時はラグビーを選んでくれればいい。
あのW杯に出て、活躍した日本代表の選手にも高校や大学から始めたという人がいる。これはおそらく野球、サッカーではあり得ないこと。そういう受け皿は常にラグビーとしては持っていることを、子供たちに伝えたいです」
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)
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