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山縣亮太が「10年に一度の風」を呼ぶまで 見放された男の挫折、愚直さ、そして9秒95

天候に恵まれないレースは数知れず、「運」だけで打ち立てた記録ではない

 今季、自身のレースでは雨、風ともに恵まれず。過去を振り返ってもそんな日が多かった。走りもいい、状態もいい。あとは風がよければ9秒台に……。安定して成績を残しながら何度も見放され、「風に恵まれない男」と表現されることまであったが、諦めないひたむきな姿に天もようやく応えてくれた。「10年に一度の風が吹きました。これまで行いが悪かったんですかね」。そう笑ってみせる横顔が、決して「運」だけで打ち立てた記録じゃないことを物語る。

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 でも、まだ終わったわけではない。9秒95で歴史を塗り替えても東京五輪に出られない可能性だってある。3枠を争う代表争いの決着は24日の日本選手権(大阪)。山縣は3位以内に入らなければならない。

 再び歴史が動いた今、ライバルたちの目はさらに強さを増しただろう。桐生、小池祐貴、多田修平、ケンブリッジ飛鳥、そして海の向こうからサニブラウンがやって来る。

「簡単なレースにはならない。もっと走りの精度を上げていきたい。気を引き締めて絶対に獲りにいく。勝負はオリンピック。そこで勝負したい」

 日本短距離界の中心に立った安定感抜群の男。牙城は簡単に崩れそうにない。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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