振付師「今日は気分が乗らない」で難航も? 中野友加里が明かすプログラム作りの苦労
芸術家気質の多い振付師、「今日は作りたくない」で延びることも…
――普通は2、3週間かかる選手も珍しくないのでしょうか?
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「そうですね。振付師の先生は芸術家気質の方が多く、『今日は作りたくない、翌日にしよう』『明日ならもっと良いイメージが湧くかもしれない』ということもあります。だから、そんなに短時間で制作を受けてくれる人は少ないと思います。あと、聞いたところによると、このコロナ禍でオンラインの振り付けが増えているそうです。
トップ選手なら、普通は米国、カナダかヨーロッパに渡って振り付けをしてもらい、それを持ち帰って日本で磨いていくことが一般的です。でも、この状況で海外渡航ができず、振付師の先生に会えない方は昨シーズンもオンラインで振り付けをして大会に臨んでいました。そういうやり方もあるのか、新しい時代が来たなと感じました」
――オンラインでやりとりしながら、振り付けというと想像するだけで難しそうです。
「振り付け自体はできるとは思います。ただ、私はやっぱり自分の目でどういう形で動いているのか、360度見ながら雰囲気を自分の目で確かめたい。できれば目の前で見たものを自分のものにして、一緒に作り上げていきたいとは思います。でも、自分が今そういう状況になってしまったら同じようにオンラインでお願いしていたかもしれないと思います」
――振付師はシーズンで変わることがありますね。そもそも、どんなアプローチで選手から依頼をするのでしょうか?
「私の場合、初めて海外でお願いした振付師の先生は有名なデビッド・ウィルソンさんです。伊藤みどりさんの振り付けを担当していたので、私が伊藤さんと同じ山田満知子先生に習っていたこともあり、山田先生に紹介いただきました。マリーナ・ズエワさんは佐藤有香さんが同じデトロイトでスケートコーチをされていたので、有香さんからご紹介いただきました。縁もゆかりなく、いきなり見てくださいと言って了承がもらえるものではないので、どなたかからの紹介のケースが多いと思います」
(30日掲載の後編へ続く)
■中野友加里/THE ANSWERスペシャリスト
1985年生まれ。愛知県出身。3歳からスケートを始める。現役時代は女子選手として史上3人目の3回転アクセル成功。スピンを得意として国際的に高い評価を受け「世界一のドーナツスピン」とも言われた。05年NHK杯優勝、GPファイナル3位、08年世界選手権4位。全日本選手権は表彰台を3度経験。10年に引退後、フジテレビに入社。スポーツ番組のディレクターとして数々の競技を取材し、19年3月に退社。現在は講演活動を務めるほか、審判員としても活動。15年に結婚し、2児の母。自身のYouTubeチャンネル「フィギュアスケーター中野友加里チャンネル」を開設し、人気を集めている。
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)