サントリーVSパナソニック、最後のトップリーグ決勝展望 準決惜敗OB2人の一致したV予想
両雄の激突は「盾と矛のぶつかり合い」
一方、サントリーがクボタを26-9で破った準決勝第2試合(16日/大阪・東花園ラグビー場)は、ビッグゲームを勝つためのラグビーに徹した黄色いジャージの姿が印象的だった。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
元々は、ボールを保持しながらトライまで持っていくアグレシッブアタッキングラグビーを標榜してきたサントリーだが、オールブラックスのスター選手でもあるSOボーデン・バレットを中心としたキッキングゲームで80分間相手にプレッシャーをかけ続け、奪ったトライは1本のみながら、クボタをノートライに抑えて危なげなく決勝戦に駒を進めた。
「サントリーもクボタもアタッキングラグビーなんだけど、ノックアウト方式で優勝経験メンバーのいるチームとそうじゃないチームの差が出た。エリアをとるキックを蹴っていく。ラインアウトを極力減らすために、クイック(スローイング)で入れていく。蹴ってきたボールに対してカウンター。選手たちがやりたいラグビーとは違ったかもしれないが、サントリーはやるべきことができていた」
選手としても、指導者としてもサントリーに苦杯を舐めてきた経験を持つ山神氏は、後輩たちの前にまたも立ちはだかったチームの強さをそう分析。一方、元日本代表主将であり、Jスポーツの解説者でもある菊谷氏は、自らも指導を受けた旧ジャパンのスタッフからも感じたサントリーの勝つ文化の蓄積が表れた試合だったと指摘する。
「前半からキックに対してフルチェイスするサントリーの選手たちを見て、まるで『どこでエディ(ジョーンズ元サントリー監督=元日本代表ヘッドコーチ)と沢木(敬介前サントリー監督=元日本代表コーチ)さんが見ているかわからないよー』と言われたんじゃないかと(笑)。『もうちょっとボールを動かしてもいいかな』とファン目線では思くらい、ガチガチに勝つためのゲームにこだわっていた」
「(準決勝は)サントリーが元気だった」(菊谷氏)
対戦予定だったリコーにコロナ感染者が出た影響で準々決勝を戦うことなく準決勝に進んだコンディションの良さも最大限生かし、最も確実にクボタに勝ち切るゲームプランを遂行したサントリーだが、パナソニックに対しては持ち前のアタッキングラグビーを前面に出してくると、両氏は予想する。
アタックのサントリー対ディフェンスのパナソニック。
優勝回数はサントリーが5回でパナソニックは4回。準優勝回数は逆にサントリーが4回、パナソニックが5回(いずれも、三洋電機時代も含む)。
まさしく、トップリーグを牽引し続けてきた両雄が綿々と作り上げてきたそれぞれのラグビースタイルが真っ向から激突する「盾と矛のぶつかり合い」(山神氏)への期待が高まる。
「お互いの持ち味のぶつかり合いになる。サントリーはアタッキング。パナソニックはまずディフェンス。別の言い方をすれば、サントリーのアタックがパナソニックのディフェンスを打ち破れるか。自分たちが本来持っている、コアにしているもの同士の戦いになる」(山神氏)
「仕掛けるサントリーに対して、パナソニックが守りながらどれくらいギア上げられるか」(菊谷氏)
攻め続けるサントリーに対して、守りからのカウンターを狙うパナソニックという図式で試合は進むことは間違いなさそうだが、「サントリーは蹴ってくるのか」という点では、両氏の意見は少々異なるものになった。