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なぜ、箱根駅伝は20kmでも失速するのか 青学大トレーナーが語る「駅伝」という難しさ

第94回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)が2、3日に行われる。毎年、実力選手のごぼう抜きが脚光を浴びる一方、予想外の失速などが生まれ、レースをおもしろくさせる。しかし、1人が走るのは、およそ20キロ。練習では、それ以上に長い距離を走っているのに、なぜ、波乱は生まれるのか。3連覇中の青学大でフィジカルトレーナーを務め、卓球の福原愛、バドミントンの藤井瑞希など日本を代表するアスリートの個人指導経験を持つ中野ジェームズ修一氏に聞いた。

毎年、実力選手のごぼう抜きが脚光を浴びる一方、予想外の失速なども生まれる箱根駅伝【写真 : photolibrary】
毎年、実力選手のごぼう抜きが脚光を浴びる一方、予想外の失速なども生まれる箱根駅伝【写真 : photolibrary】

練習では20キロ以上走破も…3連覇中の青学大・中野トレーナーが解説する波乱の理由

 第94回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)が2、3日に行われる。毎年、実力選手のごぼう抜きが脚光を浴びる一方、予想外の失速などが生まれ、レースをおもしろくさせる。しかし、1人が走るのは、およそ20キロ。練習では、それ以上に長い距離を走っているのに、なぜ、波乱は生まれるのか。3連覇中の青学大でフィジカルトレーナーを務め、卓球の福原愛、バドミントンの藤井瑞希など日本を代表するアスリートの個人指導経験を持つ中野ジェームズ修一氏に聞いた。

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 新年が明けた1月2日、3日、箱根駅伝が行われます。2014年から私がトレーナーを務める青山学院大は、今大会、4連覇を目指しての出場。彼らをみるようになってから駅伝について聞かれることもとても多くなりましたが、「箱根駅伝では、距離もタイムも想定して練習を積んでいるはずなのに、どうして急に脚が止まったり、予想外に大幅に遅れたりチームが出てくるのか?」とよく聞かれます。

 箱根に出場する選手たちにとって、20キロ程度は特別に「長い距離」ではありません。当然、普段からそれ以上の長い距離を走っていますし、もちろん、レースペースも想定済みです。しかし、本番さながらのレース形式で、想定タイムで本番と同じ距離を走る練習はあまりしません。なぜなら、本番までにリカバリーがきかないほどの、ダメージを受ける可能性があるからです。

 長距離をもっとも楽に走るコツは、一定のスピードで走り続けることです。体も車と一緒で、アクセルとブレーキを踏まずに一定スピードで走り続けると、エネルギーの消耗が少ない。どうやって省エネで走り切るかが勝負なので、市民ランナーのように、誰とも競う必要がなく、自分で決めたペースで走り切るのがもっとも効率がいいのです。

 しかし、横に並んだ人と、抜きつ抜かれつを繰り返すのがレース。駅伝もタイムを競う競技ではなく、横の人よりも前に行けるかどうかの競争です。鬼ごっこのように相手との駆け引きのなかで、スピードの上げ下げを余儀なくされるため、体は非常に多くのエネルギーを消耗します。

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中野ジェームズ修一

スポーツトレーナー

1971年、長野県生まれ。フィジカルトレーナー。米国スポーツ医学会認定運動生理学士(ACSM/EP-C)。日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナー。「理論的かつ結果を出すトレーナー」として、卓球・福原愛、バドミントン・藤井瑞希らの現役時代を支えたほか、プロランナー神野大地、トランポリン競技選手など、多くのトップアスリートから信頼を集める。2014年以降、青山学院大駅伝チームのフィジカル強化指導を担当。東京・神楽坂に自身が技術責任者を務める会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」がある。主な著書に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(サンマーク出版)、『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』(徳間書店)、『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP)などベストセラー多数。

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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