【開幕特集】「カズさんを見ていたら僕はひよっこ」 41歳小野伸二の原動力「サッカー以外、僕にはない」
子どもの頃のヒーローだったマラドーナから影響を受けたもの
「誰からも憧れられる、そんな人物像かな」
小野は自身が考えるヒーロー像について、そう語った。そして自分自身については、「ヒーローという言葉が合うのかどうかは分からないですけど、子どもたちが自分のプレーを真似したりすると言ってくれるのはうれしいですね」と謙遜した。
柔らかいボールタッチと高いテクニック。何よりも、楽しそうにボールと戯れる姿に自然と観客にも笑みがこぼれる。そんな小野が子どもの頃からずっと憧れていたヒーローは、昨年11月に亡くなったディエゴ・マラドーナだ。
「見ているだけでワクワクする。うまいとか、下手とかではなくて、マラドーナがボールを持つだけで、なんでこんなに心がワクワクするんだろう?って、そう思わせてくれる。もうずっと憧れの存在でしたね」
マラドーナと言えば、1986年のメキシコ・ワールドカップ準々決勝のイングランド戦で華麗なドリブルで5人を抜き去りゴールを決めた“5人抜き”や“神の手”でのゴールが伝説となっているサッカー界のスーパースターだ。多くのサッカー少年たちがそうであったように、小野少年もまたマラドーナの真似をした。
「伝説の5人抜きぐらいから、僕もマラドーナの真似をしていたと思うけど、ボールを持ったら全員を抜いていくという気持ちでプレーしていましたね」
そしてもう一人、Jリーグに目を向けると、「同じような感覚ですごく人を魅了するというか、すごく楽しいプレーをされていて、世界観に引き込んでくれた」とヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)時代の中心選手としてJリーグ創生期の黄金時代を支えたラモス瑠偉氏の名前を挙げた。