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11月まで部活動→国立大合格 元日本代表DFが説く文武両道「要はやるか、やらないか」

広島大学から東京学芸大学へ志望変更した理由を語る【写真:(C) Yasuhiro TAKABA】
広島大学から東京学芸大学へ志望変更した理由を語る【写真:(C) Yasuhiro TAKABA】

導かれるように広島大学から志望変更した理由とは

 新しく決めた進路は、東京学芸大学だった。同じ国体メンバーだった選手がチームメートに話していた「筑波大学を受験するけど、ダメだったら、東京学芸大学を受ける」という会話がずっと引っかかっていた岩政氏は、山口に戻ると東京学芸大について調べた。すると、志望校に決めていた広島大と偏差値がほぼ同じ。しかも、広島大の2次試験の受験科目が英語と数学なのに対して、学芸大は数学のみ。「めっちゃラクやん」。そう考えた岩政氏をさらに後押ししたのは、学芸大のサッカー部が関東1部リーグにいたことだった。

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「筑波も考えたけど、当時の僕は無名だったので、仮に筑波に行っても試合には出られないだろうなと。その分、学芸大は募集人数自体が少ないので、無名の僕にもチャンスがあるんじゃないかって思ったんです。そういうのをいろいろ考えると、これはもう行くべきだと言われているんじゃないかと」

 岩政氏は何かに導かれるように東京学芸大学を受験し、見事合格した。

 とはいえ、11月までサッカーに打ち込んでいた部活生が、どうやって国立大学に、しかも一般入試で合格できたのだろうか。「特別、受験勉強らしいことはしていなかった」と口にする岩政氏が当時やっていた勉強法は、現役時代に理路整然と守備戦術を語っていた彼らしい、目標から逆算した実にロジカルな方法だった。

「実は僕、高校は普通科に入学したんですけど、2年生の時に理数科に転科するという事件を起こしたんです(笑)」。岩国の理数科は偏差値が高く、普通科の生徒にとっては「違う集団」という感覚だった。1学年9クラスあるなかで、理数科は1クラスだけ。3年間同じクラスの、1年をすでに過ぎているクラスに途中から入る生徒は誰もいなかった。

「3年の国体を目指すと、11月まで選手権予選がある。他のみんなは6月のインターハイ予選で引退するのが一般的だったけど、僕は1人だけ11月までやると決めていた。となると、勉強をどうするか。理数科は普通科と比べて勉強の進み具合が半年早い。3年の半年間を理数科に入ることで、補えるんじゃないか」

 岩政氏の目論見は的中した。理数科へ転科したことで、2年生の段階で3年生までの授業は終わることになる。ただし逆に言えば、理数科では終わっているが、普通科では終わっていない箇所がある。そこについては独学で勉強した。おかげで、3年生になって「慌てて受験勉強をした記憶はなかった」。

 とはいえ、授業の進みを早めただけで合格できるほど、国立大受験は甘くはない。さらに岩政氏は、自宅のある離島から片道1時間半、往復3時間かけて通学していた。居残り練習もせず、電車に飛び乗り、島の最寄駅で両親の迎えの車に乗って自宅に戻ると、すでに夜の8時を過ぎていた。本気でサッカーに打ち込んで帰宅し、ご飯を食べて、勉強するなんて、「これは無理だな」とすぐに理解した。

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