名セッターが高校生に語ったケガとの向き合い方 逆境を上達のチャンスに
外から見て分かることもある―、「上達につながると思う」
また、ケガをしてコートに立てない悔しさは抱えつつも、第三者の視点として競技に触れることも大切だと竹下さんはアドバイスした。
「プレーしていないところから見るというのも、上達につながると思います。例えば試合のデータを取ることで、コートでは見えていなかった傾向などに気づくのも一つの勉強になりますよね。そういった時間を過ごすことで自分が復帰した際、チームに何が必要か考えられるようになるはずです」
コートの外で過ごす時間は、プレー面だけではなく、チーム全体についても一層、深く知るチャンスとなる。
「外からバレーボールを見ると同時に、雑用をこなすことで試合に出ている選手たちをバックアップすることになります。もしレギュラーの選手であれば日頃はしないことも増えるかもしれませんが、『チームはこういう風に動いているんだな』と気づくことによって、控えに回っている選手たちの気持ちも知ることができます。チームスポーツで、そういった部分も考えることはとても重要だと思います」
誰もがケガのリハビリ期間中は“1日でも早く復帰しなければ”という気持ちになる。しかしそこで焦って長引かせてしまうと、特に技術が飛躍的に伸びる10代の大事な時期を棒に振ってしまう。それだけに竹下さんが提案する“休む勇気”、そして外から競技を見て学ぶことは、ケガをかかえる選手たちにとって重要なポイントとなるに違いない。
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ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer