[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

「実力が名前に追いついていなかった」 “選手権のスター”北嶋秀朗が輝けた理由

2013年に現役生活を終え、現在は大宮アルディージャのトップチームコーチとして後輩たちの指導にあたる北嶋秀朗が、今だからこそ伝えたい想いを語ってくれた。前・後編でお届けする前編は、「選手権の呪縛からの脱却」。サッカー少年たちの憧れの舞台、冬の選手権で2度の日本一を果たし、得点王に輝いた北嶋でさえ、プロの壁は高かった。そこで潰れてしまう選手もいるなか、北嶋はどうやってプロサッカー選手としての花を咲かせたのだろうか。

現在は大宮アルディージャのトップチームコーチを務める北嶋秀朗【写真提供:大宮アルディージャ】
現在は大宮アルディージャのトップチームコーチを務める北嶋秀朗【写真提供:大宮アルディージャ】

実力に追いつかないスピードで有名になったことで生まれた戸惑い

 2013年に現役生活を終え、現在は大宮アルディージャのトップチームコーチとして後輩たちの指導にあたる北嶋秀朗が、今だからこそ伝えたい想いを語ってくれた。前・後編でお届けする前編は、「選手権の呪縛からの脱却」。サッカー少年たちの憧れの舞台、冬の選手権で2度の日本一を果たし、得点王に輝いた北嶋でさえ、プロの壁は高かった。そこで潰れてしまう選手もいるなか、北嶋はどうやってプロサッカー選手としての花を咲かせたのだろうか。

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

 ◇ ◇ ◇

 高校サッカーの道を志した選手に、北嶋秀朗の名前を知らない者はいないだろう。千葉県の名門・市立船橋高校の一員として3年連続で冬の高校サッカー選手権大会に出場。1年次と3年次にはチームを日本一に導く活躍を見せた。3年次には6ゴールを挙げて得点王に輝き、選手権大会通算16得点は当時の通算最多得点数だ。

 旧・国立競技場で行われた決勝戦で、あの中村俊輔(現・横浜FC)擁する桐光学園(神奈川県代表)を破ったことでさらに箔が付いた。完璧すぎる経歴に感想を求められると、北嶋は堂々と胸を張る。

「高校時代は一度も挫折していません。僕にとって輝かしいものでしかなかったですから。ただ、自分の実力に追いついていないスピードで名前が世の中に出てしまった。サッカー選手としてのピークだったかもしれない」

 自身を取り巻く世界が変わったのは、1年次の冬が終わった直後のこと。登下校の最中に見知らぬ人に声をかけられ、突然サインを求められる。サインなど持っていない北嶋少年は戸惑いを隠せなかったが、今となっては「調子に乗っていましたね」と回想する。雰囲気でペンを走らせたことを懐かしそうに語った。

 逸話には事欠かない。

 3年次の優勝直後、船橋駅からJRに乗車する際に顔バレしてしまい、大勢の乗客に囲まれて電車を遅延させてしまった。2月のバレンタインデーには段ボール3~4つの大量のチョコレートが届き、「サッカー部のみんなで食べた」。彗星のごとく現れた超高校級ストライカーを、メディアと世間が放っておくはずがない。下火になりかけていた高校サッカーブームの火付け役となり、その名はたちまち全国区となった。

1 2 3
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集